先日、アルプハーラのカピレイラという村に1ヶ月ちょっと滞在した時の日記、というか基本的には何にいくら使ったというメモに、その日の出来ごとをちょこちょこっと書きなぐったものを眺めていたら、どこで何を飲んで、タパは何か、そんなのばっかり目についてしまったのだ。次の日もその次の日もまたその次の日も…おまけにタパは絵付きで説明まで書いてある。この絵が日をいくごとに上手くなってるからスゴイ!続けることは大切だなあと。そんなコトはどうでもよくて、これではただの食いしん坊の酒飲み?と疑われてもしかたがない記録である。

 以前にも書いたように、サルー(乾杯)な日々のスペイン生活をしてきた私たちでありますが、あまりにもカーニャ(生ビール)やビノ(ワイン)の文字が出てくるので、いったいどれだけの酒を飲んでいるのか、恐れながらもあらためて検証してみたのです。それは、何回サルーをしたかということ。
  その前に、私たちのサルーの定義とはなにか。それは、その飲み物を作った人たちや原料、自然の恵み、そして、それを飲める自分たちの幸せに感謝して、新しい飲み物を口にする前に行うものである。なにをカッコつけたこと言ってやがると言われそうですが、本当だからしかたがない。ただ、新しい飲み物を口にするたびに、いちいち感謝の言葉を唱えるわけにもいかないので、とにかく、グラスを肩から目の間くらいの高さに持ち上げ、軽くチンと聞こえるくらいに合わせると同時に「サルー」と言うわけです。
  新しい飲み物とはどんなものか。例えば、まずカーニャ1杯を頼んだらサルー。次にビノデラカサ(土地のワイン)1杯にサルー。おかわりのビノデラカサを頼んでまたサルー。グラスが変わるごとに新しい飲み物になるわけです。でも、バルの人が同じグラスにおかわりを注いでくれた時も、それは新しい飲み物になる。しかし、ボトルワインを頼んだ場合は最初の1杯だけがサルー。ようするに、その場で、払うお金がかかるごとにサルーなのだ。ということに私も今気がついた。だいたい定義というのも考えてみたらそういうことか、というものだから、ものごと真剣に考えて初めてわかるというものです。
  買ったものを部屋で飲む時はどうなのか?その場合もボトルが変わるごとにサルーだけど、ワインは残して次の日に同じものを飲むこともある。あらたにお金はかからないが、気持ちとして、サルーを言わずには飲めないでしょう。日が違えば、同じボトルでも新しい飲み物になるのです。ようするに感覚、気持ちですか。


 そんなわけで、日を追って飲んだものを見てみると…

7月13日 バルA カーニャ、トゥーボ(長いグラスの生ビール)  
バルB カーニャ
バルC カーニャ
自分達の部屋  コパ デ ティント(赤ワインをコップで)、
セルベッサ(瓶ビール)3本
合計8サルー

7月14日 バルA カーニャ、ボテジャ デ ティント(赤ワイン1本)
バルB カーニャ、
自分達の部屋  コパ デ ティント、セルベッサ
合計5サルー

7月15日 自分達の部屋 コパ デ ティント
他の人の部屋 コパ デ ティント
自分達の部屋 ボテジャ デ ティント
合計3サルー

7月16日 バルA カーニャ
バルB テイント デ ベラーノ(赤ワインを炭酸とリキュールで割ったもの)
自分達の部屋 ティント コン ナランハ(オレンジ入り赤ワイン)
合計3サルー

このグラスがトゥーボ。カーニャよりも少し多く入るみたい。
カーニャの形もバルによっていろいろだから、なんとも言えないけど。

 こんな感じに日々サルーは続いていくわけで、その平均は1日5.4サルー。一番多い日は8サルーでした。0サルーの日はもちろんありません!自慢している場合じゃなく、こんなことでいいのかペグハウス! 私たちはスペインでいったい何をやっていたのだ?
  スペインでの生活を思い出してみると、あのアンダルシアの、汗も出ている間もなくすぐ蒸発してしまうほどカラっと暑い夏の昼に、山道を歩いてカラカラになった喉を通って、体にしみわたる1杯のカーニャの美味かったこと! やっぱり酒の思い出か……しかしながらその状況を想像してみてください。それは正しいことである、と誰もが認めてくれるはずです。考えてみれば、食事の時にはキリストの血といわれるワインが付きもの。ヨーロッパ諸国では常識ですよね。酒は日常にあるべきもの。キリスト教徒ではないけれど、郷に入れば郷に従え。現地の人とのコミニュケーションだって、日々バルに通って顔を憶えることが大事だと思うのです。サルーな日々は自然なことなのだ、と納得してしまいます。
  でもまあ朝は飲まないとして、昼と夜の食事で2サルー。それに山歩き、散歩の後に1サルー。おまけでもう1サルー。せいぜい1日4サルーくらいが限度なのじゃないか、と反省はしつつ、郷を出ても郷に従う日常生活。今日もここ日本で、そろそろサルーな時間がせまっているので、この辺りで切り上げようと思います。

 

たまのレストランでの昼ごはんは
ワインをボトルで頼みます。
普段は自炊だからグラス1〜2杯だけどね。
夜はたいがいバルを回っているけれど、
ゆっくり部屋でワインの時もあるのです。
その前にビールも用意して、これから
チャカチャカ始まるとこです。
新聞紙はランチョンマット代わり。


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ペグハウス
エディター&イラストレーターの中山三恵子とデザイナー&フォトグラファーの森谷由美子からなる、「楽しいー」を求めて無制限に活動する二人組。1990年のスペイン放浪以来、その非効率的な歩き方を楽しんでいる。まだエウロ未体験。ペセタに未練を残しながらも早くエウロの現実に触れてみたい今日この頃。