今年の日本列島は寒いね…。東京も最高気温が3℃という日があり、寒いが…。
でも僕らが子供の頃はこんなものじゃなかった様な気がする。
小、中、高と歩いて学校に通ったが、冬は必ず霜柱をザクザク踏みながらの通学だったよ。そして北風も吹いた。でも手袋もオーバーも無くて、寒さを凌ぐ為に手を擦り合わせ早足で通った。だから運動靴はいつも泥まみれだったなあ〜。
今の子供達に「霜柱」と言っても「それ、なあに?」という返事。泥道が全部アスファルト道路になってしまったので、見たことがないのだ。霜柱は何処に行ってしまったのだろう…。
日本での朝食は僕が作る
健康の秘訣は…
三鷹の我が家の前には300坪程の梅林がある。紅梅がほころび始めているが、この冬は一度も霜柱が立たなかった。寒い冬と言っても、昔に比べると大したことじゃない。
僕は寒くても早起き。6時に起きて1階のガスストーブを点け、居間と食堂のカーテンを開ける。お湯を沸かし、お煎茶を飲む。朝一番の日本茶は目が覚める。胃の中の毒素がきれいに洗い流されるような気がする。ゆっくりと新聞を読む。タバコを1本吸う。NHKの朝7時のニュースを見る。7時半、朝ごはんの支度にかかる。
朝ごはんは“恵美ちゃんが食べる朝ご飯”だ。今回のお正月一時帰国から次男二郎、恵美子夫婦との本格的な共同生活が始まった。恵美ちゃんは勤めを持っているので、一番早く家を出る。一年中日曜日の僕は早起きでもあるので、勤めに出る恵美ちゃんの朝ごはんを作る役目を自ら買って出たのだ。
朝8時に、恵美ちゃんは食卓に座る。絶対に朝ごはんを抜いたりしない。それも真っ白いごはんと味噌汁を欠かさない。恵美ちゃんの1日のエネルギーを保つ原動力だから。
味噌汁は前夜から昆布と煮干で出汁を作る。具は三鷹産の野菜だ。しかも具が多い。冷蔵庫には、毎朝、近所の農家に買いに行って求めた三鷹野菜が入っている。今冬は野菜が高騰したが、三鷹の農家は世相の物価高はどこ吹く風、何時もと変わらない値段で、新鮮な野菜を提供してくれるのだ。
白菜、大根、キャベツ、ブロッコリー、ごぼう、ほうれん草、かぶ、ねぎ、チンゲンサイ、かぼちゃ、ルッコラと豊富な野菜が毎朝リヤカーの上の籠に並ぶ。発売は午前9時15分からだが、この時点で大方売れてしまう。
野菜にはビタミンやミネラルなど健康に欠かすことの出来ない栄養分が豊富に含まれている。ビタミンは3大栄養素の糖質、脂質、たんぱく質を調整する役割がある。ミネラルは身体を動かす原動力、ずばりエネルギー源なのだ。恵美ちゃんが元気に働く事ができるのは、野菜いっぱいの、この味噌汁にある、と思っている。
今朝は大根とウス揚げの味噌汁にした。野菜好きの恵美ちゃんは僕が漬けたヌカ漬けも好き。カブ、ニンジン、セロリを、配色にこだわり漬物皿にのせた。昆布巻き状のサケの切り身を焼いた。焼き海苔を添えた。青森のリンゴ、二切れもペロリと食べてくれた。恵美ちゃんは「美味しいわ」と言って、笑顔で元気に出勤して行った。
長寿大国の日本人は野菜好きの人が多いね。野菜は昔から日本人の健康を支え続けているのだね。セビージャでも僕は野菜を多く食べる。安いし美味いし…。なかでもサラダ菜っ葉のレチューガとトマトとセロリはオリーブ油と塩を振りかけ、ムシャムシャ食べる。
そのせいかどうか解からないが、1年に1回、誕生日月に受ける三鷹市主催の無料健康診断では、僕の主治医、ヨシコクリニックのヨシコ先生から今年多いに褒められたよ。
「とても健康よ。去年までは生活習慣病が出ていたけど、コレステロール値がやや高い程度。糖尿、肝機能、蛋白、胃、腸も数字は年齢に比例した数値よ。スペインの食生活のお陰かしら?運動は続けなさいね」と言って、処方してくれた予防薬を昨年の三分の一の量に減らしてくれたのだ。
健康的で美しい体を作るには…
運動…。
セビージャでの、毎日の水泳の模様は度々このエッセイに書いているが、東京に一時帰国した際も、勿論近所にあるフィットネス・クラブ「エリージャ」に毎日通い、水泳とアクアビクスを欠かさない。
水中でのエアロビクスを「アクア」と呼ぶ。アクアは水の抵抗と浮力を利用して行うエクササイズで、脂肪燃焼効果、基礎体力アップ、リラクゼーション効果がある。30分間たっぷり、休みなしで全身を動かすと、プールの中にいながらでも汗が滲み出てくるのが判るよ。僕らの年齢になると新陳代謝が絶対必要。アクアはまた、動きが鈍くなった関節を和らげ、太りだした身体を引き締めてくれる効果もあるのだ。
同じ年に定年退職した僕の仲間の一人は、一日中家でゴロゴロしている。彼は会うたびに「体が重くて、いつも疲れている感じがする」と言う。僕はそういう生活は楽かもしれないが、エネルギーが消費されず体内の働きが活性化していないのではないか?だから、年中身体が重く、疲れを感じるのだ、と思う。
ところで、自分自身の身体の事はよく解からないが、一時帰国してエリージャに暫くぶりで行くと、アクア仲間の奥さん方がスマートに見える。これはお世辞でもなく事実だ。
年齢を言うと怒られるが、50代、60代、70代の女性が美しく見えるのは嬉しい事だよ。僕はセビージャのフィットネス・クラブ「O2」で中高年のスペイン女性のボディを毎日拝見している。ラテンの血を引く若いスペイン女性は、小作りの顔と大きな目、豊かなバストと偉大なヒップ、のバランスが良く美人ばかりだが、中高年になると、見事に太りだして「デブ状態」になる。しかし、プールで出会う女性は、皆バランスが良く美しい。
僕の住むアンダルシア・セビージャはスペインでも美人の産地として名高く、ミス・スペインに何度も選出されている。なので、美しさの全体的な印象では、残念ながら日本女性は及ばないが、僕らのアクア仲間の女性はスペイン女性に負けない程美しい……。
彼女達は、苦しくとも身体を動かし、内面から健康的な美しい身体をつくろう、と心掛けている。エステ、高級化粧品、美容サプリメント、そして流行の洋服や髪形などで外見だけの美しさを誇示するよりも、美しさを堅持する基本的な健康美こそが美の秘訣である事を知っている人たちなのだ。
僕の心を寒々しくした一通の封書…
ヨシコ先生に「健康で元気」のお墨付きを貰った僕だが、松が明け、日本海側が連日の大雪に見舞われた頃、何か心に寒々しさを感じた。
と言うのは、三鷹に住んでいる僕宛に、「三鷹市役所 健康福祉部 高齢者支援室 介護保険係」という所から一通の封書が届けられたのだ。
中には「介護保険被保険者証」が入っていた。
この1月2日に65才の誕生日を迎えた僕は三鷹市から介護サービスを受けられる権利を与えられたのだ。
つまり「爺[じじい]になったのだよ」と三鷹市から告げられたわけだ。
注意事項には、介護サービスを受ける時には三鷹市の窓口にこの証を提出すること、要介護認定、または要支援認定を受けてから介護サービスを受けること、など等が細かく書いてある。
「フン、バカにするな!俺は爺じゃねぇ!介護なんて絶対に受けないぞ!」と僕は叫び、この介護保険被保険者証を投げ捨てた。以来、部屋の中で見たことがない。誰かがソッと、どこかにカタヅケたらしい。
日本での、平凡な毎日が続いている……。
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