Vol.24  アンプルダンの画家      古屋雄一郎


 ロルカ、ブニュエル、ダリ。1922年、マドリードの〈学生寮〉 Residencia de Estudiantes で初めて顔を揃えて親しく交わった三人は19世紀から20世紀にかけての生まれ。ロルカの生年は1898年、ブニュエルは1900年、ふたりとも数年前に生誕百周年を迎えました。2004年。今度はダリの番です。

 12月13日まで上野の森美術館で PICASSO CLASSIQUE というピカソ展が開かれていました。ダリは1925年にパリに行き、ブニュエルの案内を得てピカソの知遇を得ます。ピカソは16年にジャン・コクトーを通じてディアギレフと知り合っており、バレエ・リュスの『パラード』や『三角帽子』の舞台美術を手がけていました。PICASSO CLASSIQUE で展示されていたのがそれです。ダリも1949年に『ドン・フアン』の装置と衣裳をデザインし、去る11月にサラゴサで復刻上演されたばかりです。

 2004年は記念イベントが目白押しですが、中でも画期的だと思えるのが、ディズニーと制作したアニメの復刻です。ダリは、1937年にアンドレ・ブルトンに宛てた手紙の中で「ハリウッドの偉大なシュルレアリストはマルクス兄弟とセシル・B・デミル、そしてウォルト・ディズニーだ」と述べているほど、ディズニーを高く評価していました。第二次世界大戦直後の1946年、ダリとディズニーは短編アニメ『運命』 Destino にとりかかるのですが、観客動員が見込めないという理由で翌年に制作中止、15分のフィルムが倉庫に眠ることになりました。2003年、ウォルトの甥で副社長のロイが『ダイナソー』のプロデューサーと復刻、7分の短編アニメ『運命』 Destino が完成しました。すでにメルボルン国際映画祭の最優秀短編賞とロードアイランド国際映画祭最優秀アニメ賞を受賞しています。動画の一部はネット上で公開されました。歪んだ時計や脚の長い象など、ダリの絵画ではすっかりお馴染みのモチーフが動きます。『ポカホンタス』や『ターザン』などに出てきそうな人物も登場します。

 ダリの著作を収めた全集の刊行も始まりました。中にはカスティーリャ語(標準スペイン語)に初めて翻訳されるものもあります。ロルカの生家 Casa Museo García Lorca では妹のアナ・マリーアの回顧展が開かれます。フロリダのダリ美術館もアメリカでの創作活動に焦点をあてた企画を通年で開催。

 フィゲラス生まれのダリはしばしば〈アンプルダンの画家〉 pintor de Amprudán と呼ばれます。フィゲラスやカダケスを含む地域の名です。〈グラナダの詩人〉 poeta granadino といえばロルカ、〈テルエルの監督〉 director turolense はブニュエルです。


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