| バスの格好をしたトラックには要注意!
ペルーに来たころは、まだ今よりも体力があったのか(8才ほど若かったのは事実)、ただ貧乏だったのか、出来るだけ安く上がるように計算しながらタフな旅をした。車をチャーターすることもなく3度も4度も乗り換えて、2日間もかけてアンデス山奥の村に行ったり、真夜中にトラックの荷台に乗って、土埃の舞う寒さの厳しいアンデス4000メートルの山越えをしたり。
今もそんな環境のところに行かなくてはならないことが多いのだが、体力的にも精神的にもできるだけ快適な行き方を検討するようになった。けれど先日のストライキの翌日、ある山村から帰ってきたときは選択肢がなかった。私の嫌いな大型夜間バスしかなく、それも最後列の席だった。この席だけはペルー人も嫌がって乗らなかったのか、売れ残っていた(近頃、ガイドを務める関係で日本人団体観光客が乗る5つ星バスに乗り続け、ローカルバスの最後列に乗ってはいけないということを忘れていたのかもしれない)。
私はうかつにも、その売れ残りの席を本当にいいのかと念を押されて聞かれたが、ためらわず買ってしまった。それも値切らずに。
バスが出発すると、かなり揺れた。山道は舗装されていないデコボコは当たり前。かなり揺れる。そのとき一緒に旅をしていたペルー人の友達は太って重いのにもかかわらず、ぽんぽん席から飛び跳ね、頭を窓ガラスにぶつけた。
「こんな席をわざわざ買うなんて。一日出発を遅らせても普通はこんな席は買わないよ」 と文句を言い始めた。あまり愚痴をもらすと舌を噛んでしまいそうになるから、文句もほどほどにした方がいい。
「これはバスじゃないんだ。バスの殻をかぶった大型トラックさ。一目瞭然だよ。こんなのに好き好んで乗るのはとことん勇気のあるやつか、馬鹿な日本人くらいだけだ!」
トラックにはバスのように振動を和らげるシステムがないので、胃が口から出てきそうになるほど思う存分揺れてくれる。けれども馬鹿な日本人の私にはバスの顔をしたトラックの真相を見抜けなかった。とことん馬鹿な私はペルー人の改造技術はすごいと素直に関心していた。きっと必要さえあれば電車のボディーだって、リヤカーだってきっとバスに改造してしまうに違いない。タフな旅に慣れているはずの友達も、食後だったからか、かなり苦しそうですぐに無口になった。
周りを見ると、後列だけでなく、ありとあらゆるところで窓を開けようと乗客が必死になっている。みんなかなり苦しいようだ。すると、今度は運転手の息子だろうか、ちびっ子が前列から乗客ひとりひとりにビニール袋を配り出した。重いものを入れたら一発で切れてしまいそうな薄いビニール袋だが、市場では10セントを出して買う有料袋。それを無料で全員に配っているのだからただ事ではない様子がよくわかる。
あまりの大げさな施しように私は笑いが止まらない。こんな光景はペルー生活以来はじめてだった。記念すべきトラックバスの旅だ。と、のんきに語れるのは、この日に限って私は日本製の酔い止め薬を飲んでいたのだった。ジャパニーズテクノロジー、ありがとうでした。
7月21日海の日
ハイビジョンチャネル NHKハイビジョン放送
午後1時から午後5時間にわたって「体感エコツアー」総集トーク番組が放送されます。私もペルー、マヌ―国立公園エコツアーガイドとして出演しています。アマゾン料理を試食したり、クイズがあったりと楽しい企画も盛り込まれています。日本ではまだ新しいエコツアーを分かりやすく紹介する番組ですのでご覧ください。
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