Vol.5
文・写真/すずきともこ

 アンデスの不況対策

 「トレド大統領は仕事を増やしてくれるって約束したのにさっぱりだわ」
と、就任して間もない大統領にブーコールを送っていたクスコの人々だが、その不況状態も最近かなり深刻化してきた。

 クスコは観光都市だけれど、去年の9月のNYテロがあってからアメリカ経由で入ってくる観光客がぱったりと減った。何も考えずにどんどんドルのチップをばらまくアメリカ人観光客も来ない。

 もう町の人は大弱りだ。そこで地元民は何をするか。

 一番安く手っ取り早くできるのは、祈り。ここはこてこてのカトリック教。あるおばさんは「教会へ礼拝に行って、もっと神さまに祈るの」という。また近頃、店や会社に黄色いルーダの花を飾るところが多くなった。この黄色い花は幸運(お金やお客)を招いてくれるのだ。

 またエケコ人形という、ひげをはやした太っちょで足の短い、不気味な目をしたオヤジ人形がいる。その人形はアンデスの商売繁盛のお守りだ。その人形の口に火曜日と金曜日に煙草をくわえて吸わせてあげると御利益があるという(人形はずうずうしくも大きく口を開けて煙草を待っている)。

 人々は火曜日と金曜日を忘れないようにハラハラだ。またアンデスの呪術師を呼んで、大地の神に供物の儀式をささげ、どうにかこの不況を生きぬけるよう祈る人々も多い。もう少し知恵を絞って客引きをするとか、新しいアイデア商品を作るとか、祈りや呪術の他にもすることがありそうだが、と私は思うが…。

 クスコの町が黄色い花畑になる前に、町じゅうの煙草が全部人形にとらわれてしまう前に、なんとか景気がよくなるといいのだが。