| A : |
スペイン人っていうと、情熱的で明るいというイメージが一般的にあるよね。 |
| B : |
暗いスペイン人もいるけどな。 |
| A : |
そりゃまあ、そうだろうけど。 |
| B : |
陰気な性格で社交が苦手で、知らない人とはひとことも口きけない人。 |
| A : |
確かにいるとは思うよ。 |
| B : |
スペイン人がみんな情熱的で明るいと思ったら大間違いなんだよ。フラメンコ踊れないスペイン人だっているんだよ。女の子に声かけられないイタリア人だっているんだよ! |
| A : |
わかってるよ! |
| B : |
リズム感のない黒人もいるんだよ!切腹しない日本人だっているんだよ! |
| A : |
もう、わけわかんないよ!あくまでも一般論としての話だ!スペイン人の国民性を考えるときに便利な本があってね。サルバドール・デ・マダリアーガの『情熱の構造』(れんが書房新社)。原著が出版されたのは1928年で、もともとのタイトルは「イギリス人、フランス人、スペイン人」。 |
| B : |
マダリアーガって、どこの馬の骨だ? |
| A : |
聞いたことないからって馬の骨ってことはないだろ!マダリアーガは文筆家で、国際連盟のスペイン代表を務め、オックスフォード大学では教授、さらに駐米・駐仏大使も歴任した知識人だよ。 |
| B : |
経歴が凄すぎて、友達にはしたくないタイプだな。 |
| A : |
とっくの昔に亡くなってるよ!この本でマダリアーガはそれぞれの国民性をわかりやすいキーワードで分析してるんだけど、まずイギリス人は「フェアプレー」、フランス人は「法」、で、スペイン人は「名誉」。フェアプレーはもちろんスポーツ用語だけど、要するに「行動」を何よりも重視するってこと。そこからイギリスの経験論が生まれたわけだ。 |
| B : |
確かに行動を重視してるよな、イギリスのフーリガンは。 |
| A : |
フェアプレーでも何でもないだろ!フランス人の「法」は、つまり観念だね。行動の前に規則をつくる。規則にのっとって行動するわけだ。 |
| B : |
フランス人は知性とか理性で行動を律するんだな。要するに頭を使うってことか。 |
| A : |
そういうことだね。 |
| B : |
ジダンも頭を使ったしな。 |
| A : |
頭突きだろ、あれは!しかも話題が中途半端に古いよ!で、スペイン人にとっての「名誉」、これはフェアプレーとか法を超越したところにあるとマダリアーガは説いている。きわめて内面的なもの、つまり名誉とは「情熱」だと。 |
| B : |
スペインは情熱的って、今さら言われなくてもみんな思ってることだろ。 |
| A : |
そうなんだけど、情熱(パシオン)のもともとの意味はイエス・キリストの受難(パシオン)なんだよね。だから情熱的=明るい、ってわけでもないんだ。で、マダリアーガは三つの国民が人生に対してとる特徴的な態度を、イギリス人は「行動」、フランス人は「思考」、スペイン人は「情熱」だと分類してるんだ。 |
| B : |
かなり極端だけど、まあ、確かにそんな感じがするよな。 |
| A : |
このマダリアーガの考え方は、よくこんなふうに紹介されるんだ。「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。そしてスペイン人は、走ってしまった後で考える」。 |
| B : |
走ってしまった後で考えるって、なんか馬鹿にされてるみたいだな。 |
| A : |
そんな意味はないと思うよ。情熱に突き動かされて行動するってことだろ。 |
| B : |
スペイン人は朝ご飯を食べてしまった後で考えるんだろうな。 |
| A : |
何を? |
| B : |
「あの…朝ご飯…まだいただいてませんけど?」って。 |
| A : |
ボケちゃってるよ! |