見てきたようなウソをつき por 微笑問題
ars gratis ars
   古屋雄一郎
Vol.61
国庫破綻

A : 日本の財政赤字のニュースにはびっくりだよね。1000兆円を越えていて、国民一人あたり848万円の借金がある計算になる。
B : 俺は借金した覚えないよ。
A :

誰だってそうだよ。

B : ただ、ときどき変な電話がかかってきて、ちょっと気になってるんだけどさ。
A : 電話?どんな?
B : 「腎臓売れ!」って。
A :

お前、多重債務者じゃねえか!誰かがお前の名前で借りてるんだよ。

B : でもきっと、俺の腎臓のことじゃないと思うんだよね。だからあんまり気にしてない。
A : お前の腎臓に決まってるだろ!しかも気になってるのか気にしてないのか、どっちなんだよ!それはそうと、スペインは国庫が破産したことがあるんだ。16世紀から17世紀にかけての話だから、かなり昔だけど。
B : 現代だってタイのバーツが暴落したり、時々通貨危機があるよな。
A :

だね。でも当時のスペインはひどかったんだ。17世紀に限っても、1627年、1647年、1652年、1664年、1680年と五回も破産宣告してる。

B :

何でそんなに破産したんだ?

A :

一言でいえば、フェリーペ三世やフェリーペ四世、カルロス二世が凡庸だったからだね。16世紀末にはフェリーペ三世が通貨危機対策として貨幣に本来の二倍の額をつけて流通させた結果、ひどいインフレになってしまった。次のフェリーペ四世は政治や経済はそっちのけで芝居とかパーティーとかにうつつを抜かしてばかり。実務は寵臣のオリバーレス伯公爵が仕切ったんだけど、このオリバーレス伯公爵が好戦的な人でね。カトリック国としての国威発揚を掲げて、ドイツを中心とした三十年戦争に介入。とにかく戦争ばかりやった人。

B : 負けず嫌いな人だったんだね。
A :

そんなレベルの話じゃないだろ!軍事費はふくらむ一方で財政は崩壊。新大陸からもたらされた銀はイタリアとかの銀行への借金として消えたんだ。

B : オリバーレスも水臭いよ。そんなに金に困ってるんなら一言いってくれればいいのに。こう見えても俺は人情には厚いからね。
A : お前の金でどうにかなるわけないだろ!しかも三百年以上も昔の話だ!
B :

金利・手数料はジャパネットが負担します!

A :

うるさいよ!

B : で、結局どうなったんだよ。
A :

17世紀の末に政府が平価を50パーセント切下げたんだ。物価は半額になって、やっと危機は克服された。

B : 結局、政治家がダメだったってことだな。
A : まあ、そういうことだね。
B : しかし国庫が破産って、考えてみるとすごいよな。会社でいえば倒産だもんな。
A : そうだよ。
B : 人間でいえば自己破産。
A : うん。
B : ネコでいえば…何だろう?
A : わかんないなら譬えるなよ!