| A : |
前にロムの話をしたけど、あれからいろいろ調べてみたら、ジプシーをどう呼ぶべきか、これは結構難しい問題だということがわかったんだ。
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| B : |
「ジプシーは自分たちのことをロムと呼んでいる」って話だったよな。 |
| A : |
そう。ロムとかロマとかね。ロムはジプシーの言語であるロマニー語で「男」「人間」「夫」を表す言葉で、ロマはその複数形。だけど、最近の研究によれば、自分たちのことをロムとかロマと呼んでいるジプシーは実は少ないことがわかった。 |
| B : |
ベムって呼んでる人が多いらしいね。 |
| A : |
妖怪人間じゃねえよ!「ジプシーは差別語だからこれからはロマと呼ぶことにしましょう」っていう話が出て来たのは1971年の第一回世界ロマ会議なんだ。その背景には、ルーマニアで長く奴隷制のもとにおかれてきた集団の一部(ヴラフ系ロマ)のあいだで自分たちのことをロマと呼ぶようになったことがある。でも、その他の集団では、ロマといえば単に「男」とか「人間」とか「夫」という意味しかないんだ。 |
| B : |
つまりヴラフ系の人たちだけの専売特許ということか。 |
| A : |
まあ、言ってみればそうだね。その証拠に、ヴラフ系ロマは、自分たちこそが「真のロマ」だと考えていて、他の集団のことはロマとは呼ばないんだ。 |
| B : |
ややこしいな。 |
| A : |
そうなんだよ。たとえばドイツのジプシーは自分たちをシンティと呼んでるし、フランスはマヌーシュ、イギリスはロマニチャル、フィンランドはカーロ、スペインではヒターノあるいはカレー(cale)と、バラバラなんだ。 |
| B : |
本当の姉妹じゃないのに「叶姉妹」と名乗っているあの二人みたいなもんだな。 |
| A : |
全然ちがうよ!こんなところでいきなり芸能界のタブーに挑戦してどうするんだよ! |
| B : |
しかしスペインのジプシーが自分たちを「カレー」と呼んでるくらいだから、やっぱりジプシーはインドから来たんだろうね。 |
| A : |
そういういい加減なこと言うから誤解が誤解を呼ぶんだよ!たしかにインド起源説はあるけど、確かな証拠はないんだ。はっきりわかってるのは、ジプシーと呼ばれる人たちが11世紀にバルカン半島に住んでいて、そこから方々に散ったことだけ。彼らがどこから来たのかは不明なんだよ。 |
| B : |
じゃあ、これからジプシーは何て呼べばいいんだよ。 |
| A : |
それが問題だよね。なにしろジプシーたちの言葉には世界中のジプシーをまとめて呼ぶ総称が存在しない。だから、結局は「ジプシー」と呼ぶ以外になさそうなんだ。この辺の事情については水谷驍さんの『ジプシー 歴史・社会・文化』(平凡社新書)が詳しいよ。 |
| B : |
爆笑問題を漫才師と呼んでいいのかどうかと似てる問題だな。 |
| A : |
どこがだよ! |
| B : |
小林信彦さんが対談したとき、「お二人がやっているのは、漫才なんですか?」って質問したんだ。そしたら太田光は「僕は漫才とは思ってないです。漫才の基本も知らないし、それこそやす・きよもあんまり見ていないし、ダイマル・ラケットも知らないし、自分たちが何なのかハッキリ言えないんです」って答えてるんだよ。『爆笑問題とウルトラ7』(新潮文庫)に載ってるんだけど。 |
| A : |
別にいいだろ、コメディアンと思ってるのかも知れないし。 |
| B : |
小林さんは「なんか不思議な芝居みたいなものかなあ」って言ってて。ところが去年出たDVD『爆笑問題のツーショット 2007年上半期』のパッケージの裏を見て驚いたね。「俺たちは一生漫才師でありたい。太田」って書いてるんだよ。どっちなんだよ! |
| A : |
いいだろ、どっちでも! |
| B : |
由々しき問題だ! |
| A : |
本当にどうでもいい話題だよ! |
| B : |
私が総理大臣になったら二人は逮捕します。 |
| A : |
お前がいちばん影響受けてるじゃねえか! |
| B : |
往復だと安いもんな。 |
| A : |
格安航空券じゃねえよ! |