見てきたようなウソをつき por 微笑問題
ars gratis ars
   古屋雄一郎
Vol.37
マファルダ

A : 今回はマンガの話。
B : マンガなら詳しいぜ。なんたって俺の父親は手塚治虫だから。
A : いきなり大嘘じゃねえかよ!スペインで、というより、スペイン語圏でいちばん有名な四コマ漫画といえば『マファルダ』。その日本語版がついに登場しました。Jスパ!でも宣伝してるけど。
B : でも結構昔のマンガなんだろ?
A :

60年代から70年代にかけてだね。アルゼンチンの新聞に連載されてたんだ。

B : 新聞の四コマ漫画なら、日本だと「サザエさん」とか「フジ三太郎」とかがあるよな。
A : 英語圏だとチャーリー・ブラウンとスヌーピーの「ピーナッツ」だね。『マファルダ』の主人公はタイトルと同じマファルダっていう女の子。幼いのに政治や社会問題に敏感で、世界人類が仲良く暮らすにはどうすればいいか、なんてことをいつも考えているんだ。
B : つまり「ドラえもん」でいえばしずかちゃんだね。
A : どこも似てないよ!キャラクターが全く違うだろ!マファルダは米ソ冷戦時代の世界情勢に胸を痛めてばかり。そんなおませな女の子なんだけど、野菜スープが大嫌いでね。「野菜スープと子どもの関係って、共産主義と民主主義の関係みたいだね」なんて言ったりして。
B : 俺はお前が大嫌い。
A : 何でいきなりここで喧嘩するんだよ!アルゼンチンのマンガだから当然中南米のネタが多いんだけど、ほら、中南米って地球儀だと下半分だろ?
B : 当たり前だよ。
A : マファルダはそこに疑問を持つんだ。「どうして自分の国は下向きなんだろう?」って。そう考えた途端、コマの中身が上下逆さまになっちゃう。
B :

マンガならではの描写ってわけか。

A : うん。言葉遊びが豊富なのも特色でね。ヨーヨーってスペイン語でも yo-yo って言うんだけど、yo は「わたし」って意味だよね?だからスペイン語で「ヨーヨー」って言うと「わたし・わたし」って言ってるように聞こえる。そこから誤解が生まれて一騒動持ち上がったり。
B : 翻訳するのも一苦労だろうな。
A : 大変だったと思うよ。マファルダの仲間には、勉強が嫌いで空想にふけってばかりいるフェリーペや、子どもを産んで母になることだけが夢のスサニータ、拝金主義者のマノリートがいる。
B : 乱暴者で、無理やりリサイタルを聞かせるジャイアンは?
A : いないに決まってるだろ!
B :

でもジャイアンとかゴリライモって定番だぞ?

A : 日本の話だろ、それは!マファルダはビートルズの大ファンで、マノリートはビートルズが大嫌い。いかにも60年代的で、「ちょっと古くさいなあ」と思うかもしれないけど、今読んでも楽しめる話もたくさんあるんだ。
B : 女の子が主人公だから、ちびまる子ちゃんみたいなものかな?
A : もっともっと奥が深いよ。子どもなんだけど大人を絶句させるセリフをバンバン吐くし。
B :

じゃあ、キューティー・ハニー?

A : 何の共通点もないよ!