見てきたようなウソをつき por 微笑問題
ars gratis ars
   古屋雄一郎
Vol.24
ウエスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ

A : 毎回見てきたようなウソばかりついてる僕たち微笑問題ですが、 8月13日から一週間グラナダに行ってきましたね。
B : グラナダは久しぶりだったな。
A : 5年ぶりでした。短い滞在だったけど、ロルカの生家博物館に行ったり、ヘネラリーフェ庭園の野外劇場でクリスティーナ・オヨス率いるアンダルシア・フラメンコ・バレエ団の『ジプシー歌集』 Romancero Gitano を観たり、いろいろ楽しかったね。特に印象に残ったのがバレンボイム指揮のウエスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ。
B : 会場はアルハンブラ宮殿。
A : カルロス五世宮殿の中庭だったね。指揮はバレンボイム。
B : 演奏は横山ホットブラザーズ。
A : 違いすぎてツッコむ気にもなれないよ!ウエスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラだろ。
B : 団員は若者ばかりだったな。
A : 構成メンバーはイスラエル人とアラブ人とスペイン人の若い演奏家ばかりで、結成されたのは1999年。本部はセビーリャにある。
B : 時期がまたぴったりだったな。
A : そうなんだよね。イスラエルによるレバノン攻撃の真っ只中だった。もともと会場はグラナダではなくエジプトだったんだけど、中東情勢が悪化して、代替地としてバレンボイムが選んだのがグラナダだった。
B : カルロス五世宮殿も良かったな。
A : アルハンブラ宮殿は言うまでもなくイスラム建築の粋を集めたもの。その中にあるカルロス五世宮殿はキリスト教の象徴。異文化の共存を目指すオーケストラの舞台装置としてまさにうってつけだったね。
B : それにしても氣志團の特別出演にはびっくりしたな。
A : 出てねえよ!
B :

解散の危機を乗り越えて十周年を迎えたのに?

A : だから何なんだよ!
B : 曲目は何だっけ?
A : 第一部がベートーベンのレオノーレ第三番序曲と、ボッテシーニ編曲によるロッシーニのチェロとコントラバスのための幻想曲。第二部はブラームスの交響曲第一番ハ短調作品68。
B : 幻想曲のソロがよかったな。
A : チェロはイスラエル人のキリル・ズロトニコフ、コントラバスはエジプトのナビル・シェハタ。堅実な、いい演奏だったね。アンコールはワーグナーのトリスタンとイゾルデ前奏曲。
B :

こういう演奏会をもっとやれば民族紛争なんてなくなるのにな。

A : クリスティーナ・オヨスも地元の新聞のインタビューに答えて同じことを言っていたよ。
B : 演奏会に反対するやつは皆殺しだな。
A : お前がいちばん危険だよ!