見てきたようなウソをつき por 微笑問題
ars gratis ars
   古屋雄一郎
Vol.22
サッカー戦争


A : スペイン語をとりまく環境を見ていると、油断できないのがアメリカだね。メキシコから国境を越えてアメリカに入国する不法移民が後を絶たない。
B : ヒスパニック人口は増えているんだろ?
A : ものすごい勢いで増えている。去年一年間でアメリカの人口は280万人増えたんだけど、そのうちの130万人がヒスパニック。80万人は自然増で50万人は移民なんだ。
B : 移民といえばメキシコ国境がよくニュースになってるな。
A : メキシコからの不法入国者が後を絶たないんだよね。国境を越えたはいいものの、砂漠をさまよって餓死する人も大勢いるらしい。
B : カロリーメイト持ってないのかな?
A : そんなもんあっても役に立たねえよ!砂漠だよ砂漠!不法移民があんまり多いから、ブッシュ大統領が「州兵六千人を派遣して国境を警備する」と言い出したね。
B : まるで戦争だな。
A : 不法移民と戦争といえば 1969年にはサッカー戦争があった。
B : サッカー戦争?
A : ちょうどワールドカップが始まったけど、 1969年にエルサルバドルとホンジュラスが試合をした。その頃はエルサルバドルからホンジュラスに不法越境した移民が数十万人いて問題になっていたんだ。
B : 今のアメリカとメキシコそっくりだな。
A : そうなんだよ。ホンジュラスは農地改革を始めたんだけど、不法移民には適用されなかった。
B : 不法移民なら国外追放すればいいんじゃないの?
A : たしかにね。実際追放したんだけど、「ホンジュラスで虐待された」という噂が広まってしまったんだ。
B : 一触即発じゃねえか。
A : まさに一触即発の状態でサッカーの試合が行われた。この試合をきっかけに一気に戦争状態になってしまった。 7月14日にエルサルバドルがホンジュラスに空と陸から攻め入った。ただ、エルサルバドルが無條件撤退にあっさり合意したもんだから、あっという間に戦争は終わったんだ。「100時間戦争」という別名もあるくらい。
B : じゃあ今回のドイツ大会、アメリカとメキシコの試合は危ないな。
A : アメリカはEグループ、メキシコはDグループ。勝ち進めばひょっとするとぶつかるかもね 。
B : でもアメリカとメキシコじゃ国力に差がありすぎるな。
A : まあね。
B : 「一時間戦争」だったりして。
A : 短かすぎるだろ!
B : 「試合の方が長かった」なんて。
A : うるさいよ!