見てきたようなウソをつき por 微笑問題
ars gratis ars
   古屋雄一郎

Vol.129
禁煙法


B :

今年の1月2日からスペインでは改正禁煙法が施行されたな。

A :

ああ、反タバコ法(レイ・アンティタバコ)のことだね。最初に施行されたのは確か五年前だった。小さな飲食店では完全禁煙か完全喫煙のどちらかを選ばされたんだよね。大きな飲食店では完全分煙が義務づけられた。今回の改正では、基準がいっそう厳しくなったみたいだね。

B :

なにしろ、タバコを口にくわえただけでガス室送りだっていうからな。

A :

ウソつけ! くわえただけで罰せられるわけないだろ! しかも何だよ、ガス室送りって! ホロコーストかよ!

B :

強制収容所に送られて、ガス室に入ると、だんだんタバコの煙が充満してきて……。

A :

殺人ガスじゃないのかよ!

B : みんな愛煙家だから逆に喜んじゃって。
A : バカか!
B :

最後は全員笑いながらのたうち回って窒息死するという。

A :

下らないよ!

B : とまあ、そんなユダヤ・ジョークはさておき……。
A :

笑えないよ!

B : 今回の改正禁煙法のポイントは「他人と共有するクローズドな空間は全面禁煙」になったことだな。要するに、いろんな人が出入りする閉ざされた公共空間はダメ。ただし例外があって、閉ざされた空間だけど吸ってもいい場所があり、逆にオープンスペースだけど吸ってはいけない場所がある。
A : 「閉ざされた空間だけど吸ってもいい場所」っていうと、真っ先に思いつくのはホテルの部屋かな。
B :

ホテルやオスタルなんかの宿泊施設の部屋はOK、ただし施設の面積の30%を超えてはいけない。喫煙ルームがある施設では、そこ以外の場所での喫煙はダメ。ホールや廊下、エレベーターの中もダメ。

A : まあ、エレベーターの中で吸う人は今でもいないと思うけど。
B : エレベーターの天井裏に上ってこっそり吸うのものダメ。
A :

いねえよ、そんなダイ・ハードな奴! ていうか、喫煙云々の前に危ないだろ! じゃあ、職場は?

B : 職場は顧客や他の社員が出入りするから全面禁煙。ただし、その人の住居の一部とみなされる場合はOK。
A :

愛煙家は肩身が狭くなる一方だね。じゃあ「開かれた空間だけど吸ってはいけない場所」はどこ?

B :

教育機関や医療施設の敷地だな。中庭とか、外の連絡通路とか、児童遊園とか。

A : 海水浴場とかビーチは?
B : オープンスペースだからOK。ちなみに宇宙もオープンスペースだからOK。
A :

いねえよ、宇宙でタバコ吸う人なんか! そもそも火がつかないだろ、真空だし!

B : でも、宇宙空間は有限だっていう説が有力なんだよな。宇宙が「永遠に膨張と縮小を繰り返す有限の空間」だとしたら、やっぱり吸っちゃダメだな。
A : 話が大きすぎて、ついていけないよ! ていうか、スペインの禁煙法が宇宙に適用されるわけないだろ!
B : だけど、Vol.67「タバコ」でも触れたけど、新大陸からタバコがヨーロッパに伝わったときは万能薬だったのにな。
A : ああ、そうだったねね。頭痛や歯痛、内蔵の病気に解熱や止血と、まさに何にでも効いたらしいね。
B : それが今では路上でさえタバコを吸えないもんな。嫌煙派の人たちはよっぽどタバコの煙が嫌なんだな。
A : 煙もそうだけど、間違ってタバコの火が衣服について燃えたり、火傷したりしする可能性もあるし。
B : 「私たちにはタバコの煙を吸わない権利があります!」
A : まあね。
B : 「私たちには新鮮な車の排気ガスを吸う権利があります!」
A : バカか!