見てきたようなウソをつき por 微笑問題
ars gratis ars
   古屋雄一郎
Vol.11
フラメンコとイスラム文化


A : スペインは他のヨーロッパ諸国と較べると本当に独特だよね。特にフラメンコは東洋的というか…。もともとはジプシーの文化だけど、調べてみると他にもいろんな要素がからまりあっているみたいなんだよね。

B : 「なんだよね」って、そんなアバウトなこと言われてもオレは知らないよ。調べたんだろ?だったらちゃんと教えろよ!そこのところをはっきり説明してみろっつーんだよ!

A : 何でいきなり怒るんだよ!

B : だって一月だし…。

A : 「だって」の意味がわかんねえよ!ちょっと調べてみたんだけど、よくフラメンコでオレ!とかオーレ!って言うよね。歌や踊りにシビレたり、景気をつけるのに。

B : オレが?

A : 言うと思ったよ!今どきそんなシャレ「笑点」でもウケないよ!で、このオレ!なんだけど、もとをたどるとアッラーなんだ。

B : アッラーっていえば、イスラム教徒の親玉じゃねえか。

A : 何だよ親玉って!神様だろ。スペイン語らしい表現でいうとポル・ディオス!(!Por Dios!)と同じで、驚嘆の表現なんだ。

B : 要するに、すごい、とか、いいぞってことだろ?

A : そう。日本だと歌舞伎でやるよね。大和屋ッ!とか音羽屋ッ!って、大向こうから声をかける。

B : 吉野家!とかな。

A : そんな屋号はねえよ!それって牛丼だろ!

B : 牛肉輸入解禁のメドが立ったから記念にと思って…。

A : 記念しなくていいよ!

B : CoCo壱番屋ッ!

A : しつこいよ!カレーだろ!

B : 目先の笑いがほしくて、つい…。

A : ボケるならもっとひねってボケてくれよ。歌舞伎のかけ声は俗に「大向こう」っていうんだよね。もともとは劇場のいちばん奥の桟敷席、立ち見席のことなんだけど、そこには芝居好きの通が多い。かけ声のかけかたもうまい。そこから、かけ声のことを「大向こう」と呼ぶようになったんだけど。

B : でもフラメンコは、お客さん以外に舞台のカンテやバイレの人たちが自分たち同士で声かけ合うよな。

A : 確かに。そこが歌舞伎とちがうところだね。

B : 歌舞伎じゃ絶対役者はかけ声かけないもんな。

A : 当たり前だよ。

B : びっくりするだろうな、市川海老蔵が見えを切りながら自分で「アッラーよ!」

A : どんな歌舞伎だよ!