スペイン旅行でフラメンコを見たい!という人の強い味方になりたいのがこのコーナー。スペイン各地にあるフラメンコのライブハウス、タブラオをご紹介していきます。

タブラオは観光客でも気軽に訪れることができるところ。入場料をはらってお酒や食事をしながらフラメンコを楽しみます。客の中心は観光客。でも、だから質が悪いということはありません。未来のスターを探しに、あなたも出かけてみませんか?

文・写真 志風恭子

タブラオに関するQ&Aはこちら

 

004


ロス・タラントス[グラナダ] 
Cueva Los Tarantos

グラナダといったら、なんといっても洞窟タブラオで見るフラメンコ!だろう。

アルハンブラ宮殿の向かい、アルバイシン地区からさらに奥に入ったサクロモンテ地区はかってのジプシー居住区。岩山に穴を掘って住宅とした、この洞窟住宅は夏は涼しく、冬はあたたかく、案外に住みやすいそうだ。この住宅を舞台にフラメンコを見せるようになったのはいつ頃からだろう。

サンブラと呼ばれる、グラナダのフラメンコの宴、フィエスタが、いつしかタブラオという形になってきたようだ。グラナダ出身のアーティストの多くがその若い頃は踊っていたという洞窟タブラオ。グラナダには今でも、エル・ロシオやマリア・ラ・カナステーラ、ベンタ・エル・ガジョなど数軒の洞窟タブラオがあるが、その中のひとつで、サクロモンテの入り口にあるのがここ、ロス・タラントスだ。

この洞窟住居を1972年に買ったホセ・マルティンとコンセプション・マジャ夫妻が開店したもの。今はその息子たちが受け継いでいる。このタブラオから育ったアーティストには歌い手のエル・ポラコ、モレニート・イジョラ、チョンチ・エレディア、踊り手のビエンベニード・マジャ、マノロ・リニャン、ルイス・デ・ルイスなどがいる。

ほかの多くのグラナダのタブラオと同様、ここもホテルへのミニバス送迎、ガイド付アルバイシン散策、ショーと飲み物一杯付きのパックが基本。

ホテルから予約をいれるとバスが迎えに来たのが9時半。バスは市内各所のホテルを回って予約客をピックアップしていく。これにけっこう時間がかかり、約1時間後、ようやくアルバイシンへ到着。世界遺産のひとつである旧アラブ地区であるこの街を、西英仏独伊ポと数カ国語(日本語はカタコトのみ)を操るガイドの案内で迷路のような小道を歩き、サン・ニコラス展望台へ。ここからみるアルハンブラ、そしてグラナダの夜景はさすがにすばらしい。

そこから坂を下っていよいよタブラオへ。白壁の洞窟である。オンシーズンは舞台を使ったりもするようだが、客の少ない時期は、細長い洞窟の中、アーティストも観客も同じ高さに並ぶ。席は自由席で早い者勝ち。ウエイターが飲み物の注文をきき、配り終わるとショーが開始。ギターもカンテもマイクなど使わない、生の音である。

最初はファンダンゴス・デ・ウエルバ。3人の女性舞踊手が順に登場する。セビージャのタブラオに比べ、衣装や髪などのかたちはシンプル。よりプリミティブな感じだ。

ソロはベテラン、アングスティアのタンゴから。続いてローラがアレグリアスを踊る。踊りのスペースは畳三畳分あるかどうかという小ささ。回転のときなどスカートが観ているこちらの鼻先をかすめていく。それまでカホンをたたいていたフアンがソレア。この洞窟の持ち主で、芸術監督もつとめるという彼の踊りで第一部は終了。

10分程度の休憩(別料金が必要だが、追加の飲み物を頼むこともできる)のあと、ブレリアスのカンテ・ソロがあり、アナのアレグリアス、そして先ほどタンゴを踊ったアングスティアのソレアでフィナーレ。ショーは休憩込みで約1時間半と短いので、フラメンコを見慣れない観客でも飽きることはないだろう。

店を出て、またミニバスへ。ホテルまで送迎してもらい、帰ったのは深夜1時少し前だった。

アルバイシンからみるアルハンブラの夜景

タンゴを踊るアングスティア

アレグリアスを踊るローラ

ソレアを踊るフアン

アレグリアスを踊るアナ

カホンをたたくフアン、歌のラクゥル、ギターのホセ・カンポス

※写真をクリックすると拡大してご覧いただけます。