|
松本さんは、アンダルシアでTV出演されていて、とても有名人ですよね。番組について日本のスペインファンの方にご紹介をお願いします。
「番組名は、“De Punta a cabo<デ・プンタ・ア・カボ>”。端から端までという意味で、アンダルシア州営TVのCanal
Sur(カナル・スル)2の月曜から金曜まで、毎日夜8時半から30分間放映中です。
アンダルシア再発見をテーマに、各地の文化、歴史、習慣、地理、郷土料理等についてのクイズ番組です。昨秋からは土曜日に中学生対象の若者向け編も始まり、クイズありゲームありの内容で1時間半放送されています。今、中学生の中でブームになっていて、学校では無気力な学生が番組ではすごく燃えてクイズに答えたりして、視聴率も高いです」
番組の中での良さんはどういう役割をされていますか?
「村々を回り、取材してクイズにするレポーター役です。めったに行かない地下の遺跡とか生ハム工場や、普通ではあんまり知れないような所をくまなく回らせてもらいます。
若者向けの方は、学校対抗クイズ合戦で各チーム5人の代表がクイズに答え対戦し、応援席には付き添いの先生を含む合計100人が控え、熱戦を繰り広げる形です。
僕は観客席のレポーターで客席を盛り上げたり、スペイン語で早口言葉を言わなければならなかったり…(笑)」
テレビ出演はいつからですか?
「放映は01年2月からで、もう1年以上続いていることになりますね。TVのレギュラー出演は初めてですが、以前マドリッドに住んでいた時に、スペイン国営放送はじめ民放数局にも出ました」
テレビに出るきっかけは?
「友達にしつこくオーディション受けろって言われて、受けに行ったら受かってしまったんです。もちろんスイス人とか他の外国人も来ていましたが、2次選考で『台詞を丸暗記しろ』って渡されて、ただ普通にやるのは面白くないから凝ったことしたんですよ」
といいますと???
「オーディションは出題形式だったので、最初はこっちの下町の不良少年風、次は下町のおばちゃん風、最後はスペインに住んでいるアメリカ人を真似たんです。そしたらプロデューサーとかひっくり返るぐらい笑って、すごくうけて、こっちもどんどん調子に乗ってきて…。性格がね、吉本とかあっちの類の性格なんで(二人して笑)」
大阪出身ですもんね!
「そう大阪。だから人を笑わせるのが好きな方だから、フラメンコの真剣な芸術とは別に昔、演劇とかやったりミュージカルで歌って踊ってたんで、何でも来い!!って感じです。カメラとかマイクを向けられると本領発揮、カメラを吸い寄せるみたいなものがあったのかもしれないですね」
視聴者の反応の方はいかがでしょう?
「僕、30分番組の中の1分間とか瞬時に出ているだけなのに,反応はすごく大きいなと思います。おばちゃんをはじめ、おじいちゃん、おばあちゃん,子供に人気ありますね。
やっぱりね、アンダルシアのおじちゃんやおばちゃんにいかにうけるかが視聴率にも影響するしね。村に取材に行ったりすると“良だー”って言われたり、市場に買い物行くと、おばさん達に“ベッソ(キス)させてー”って言われたり…」
私も良さんが出てくるの楽しみにしてます。
「ありがとうございます。でもアンダルシア人受けするのはうれしいですね!僕自身この土地が大好きだから,もうこの人たちのためなら何でもっていう感じで…。そういう意味ではアンダルシアに関しての州営テレビに出られるのは本望です」
テレビの舞台裏ってどんな風ですか?
「もうめっちゃくちゃ。いろいろあります。まあ仕事になれば、いやなこともあれば辛いこともあります。一般的にテレビ界の人たちは心地好い人。僕は、外国人だからってテレビでチヤホヤされないし、本当に“平”でスペインの社会で働くことを味わってます。そういう意味で特別扱いでなく、ボカデイージョ(サンドイッチ)食べてがんばってます!」
ちょっと気になるプライベートについてお伺いします。まずは、スペインにはいつ、どのようなきっかけで来たのですか?
「20歳の時、モーリス・ベジャールのバレエ学校に入りたくてベルギーへ渡った時、フラメンコにも興味があって来西したのがきっかけです。
その後ベルギーとマドリッドを行き来し、大学を卒業しに日本に一時帰国。その後パリにバレエで少し滞在して、マドリッドに戻ってきました。
そして、セビリアに来たらもうここから動けなくなってしまいました。その後も日本に帰って公演やタブラオに出演したり、セビリヤでフラメンコ教えたり、92年のセビリヤ万博で踊ったりと,フラメンコの仕事はいろいろあります。
今まではフランスの女性監督がやった公演の主役に抜擢され、2年連続パリ公演をしてました」
国際人って感じですが…、ご結婚は?
「はい、ただいま独身です。結婚かなーという事もあったんですが、やっぱりやめました」
これからの予定は?
「将来の事はなんにも分からないですね。もちろんフラメンコはずっと踊っていきたいですけど。でも今の所、番組も好評だし、文化や言葉の勉強になるのでTV出演も続けていくつもりです」
良さんにとってのスペイン、特にアンダルシアは特別なものだと思いますが、その暮らしについてどのように思われますか?
「アンダルシア人好きですね。庶民的でいいですね。僕の生まれた関西人のような飾らない装わない、そんな所がアンダルシア人の中にもあって…、全然違和感がないです。
フラメンコをやってるやってない関係なしに、この人たちはフラメンコが生まれる泉の中にいるんですね。それを歌ったり踊ったりしたのがフラメンコであって、他の表現の仕方ももちろんあって、生活スタイルの中でフラメンコ的なアンダルシア人も沢山いるから、自分は愛らしいこのアンダルシア人の人たちといるのがやっぱり好きですね」
最後に将来の夢を聞かせていただけますか?
「やっぱり自分の本望はフラメンコです。アーチスト、踊り手としてやっていきたいと思います。
今まではアンダルシアの人やジプシーに愛されることを目指してたんです。今では自分の好きなアーチストだとか、ジプシー達の前で踊ったら『ジプシーよりもっとジプシーだ』って言われたり、ファル−コの身内のジプシーが僕の踊りを観て『今日はおまえの踊りを観ていい酒が飲めた。ファル−コを想い出したよ』と言ってもらうことができ、最初の夢は達成したんですが、これからは視野を広げ、本当に心を打つコミュニケート出来るアーチストとして、もっと大きい芸域に行きたいですね。
アンダルシアだけでなくもっと活動範囲を広げていきたいし、また自分としては芸を広めてもっと深いものを目指したいと思います。
芸術=人格で、踊りには人柄が出るので人格修養が必要です。僕は常に夢に向かって励んでゆけるロマンを大事にしたいから、例えばフラメンコを通しての“世界平和”、つまり、皆が幸せで、争いごとを少なくできたらいいなとか、そんなことを思ってます。それだったら達成したってことがないから…。そうやって生きてゆけるかなって思いますけど…(笑)」
今日は本当にありがとうございました。これからもがんばってください。
取材/北原由紀子、角田美恵子
|