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いろいろな立場のスペイン人たちの日常生活ぶりを取材してみよう!とスタートしたが、第2回目にして、「スペインに住む外国人」の暮らしぶりもいいかもねと思った。それなので、今回はヘレス在住のフランス人、ニコラ・パトリスに質問した。
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――スペインに住むことになった経緯は?
「僕は南フランス出身で、フラメンコギターを習得する目的でヘレスに来たんだ。もう4年半前になるね。父がフラメンコギタリストだった影響で9歳からギターを弾いてる。
フランスでは社会学を学んだからその道に進もうと思っていたけど、ヘレスを知ってギターを仕事にすることも考え始めた。以来、フランスとスペインを往復する生活を送ってる。今はギターと大学で勉強したことと、どっちを選択していいか悩んでいるところ」
――フラメンコを通して日本人とも交流があるよね?
「こっちで日本人の彼女と知り合った。その関係で何人もの日本人フラメンコ留学生の友達ができたんだ。彼らのフラメンコに対する熱意が半端じゃないことにすごく驚かされたよ。
それで大学の卒業論文に『日本人とフラメンコ』というテーマを選んで、そのなぞを社会学的に研究したんだ。9人の在西日本人にインタビューしたりしてさ、とても興味深い話が聞けたよ。つい最近、その論文を発表したんだけど、お陰で最優秀点をとることができた」
――この先はどうするの?
「フラメンコの本場ヘレスで、プロのギタリストと生きていくのはかなり困難。レベルが高いし、僕には外国人だというハンデがある。
今はヘレスで暮らしていくために、どう稼いでいこうかと模索中。ギターを続けたいけど、勉強が役立つ仕事が見つかれば、それもまたいいし。まだ具体的には何も決めていない状態さ。ここに住み続けたいから、何らかの仕事を見つけるつもりだけどね」
――なぜアンダルシアに住みたいの?
「まずは興味あるフラメンコがここにある。もちろん外国に暮らすのは簡単じゃないよ。僕の過去との繋がりは全てフランスにあるんだからね、家族、友達、文化、教育…。でも、それほど文化的にかけ離れているわけでもないから、自分の適応範囲内だ。
そして、ここにはフランスにはない何かがある。帰国する度に、マルセイユ人(ニコラの故郷)がアグレッシブだなと感じるんだ。こっちには、共同利益感がある。
例えばある日、僕がいたバルに浮浪者が入ってきた。そしたら、バルの人たちが彼に食べ物を提供したんだ。更にそれぞれが1本ずつ自分のタバコもあげてたよ。
この情景に僕は感銘を受けた。もしこれがフランスだったら、お金のない浮浪者にはコップ1杯の水さえ与えないよ。人が人として生きられる環境がここにはまだ残っている。そこに惹かれるんだ。ここに長く住んでみたいね、自分の文化を持ち続けつつね」
――ニコラにとって、ヘレスはマルセイユより生活しやすいの?
「それは簡単には、そうだともそうでないとも言えないな。確かに、ヘレスは僕をリラックスさせてくれるところがある。でも、本当の意味でこの地に溶け込むにはかなりの時間がかるんだろうと思うよ。
まずは稼ぐための仕事の獲得に、そして歴史の違う人たちとの交流により苦労するのは目に見えている。それらがクリアできたらいいね」
――そのアンダルシアのいいところってどこから来てると思う?
「ひとつにはまだ村社会だから。南スペインの村とフランスの村を比較したら、南スペインの村は50年くらい遅れている感じがするよ。先進国にある、競争心からくる醜い部分をまだ持っていない。
もうひとつにはアンダルシアならではの文化からでもあるだろうし。恵まれた天候による、人びとの気質や生活スタイルからの影響もあるんじゃないかな。ほら、のんびりしていてあんまり働かない風習とかさ」
――フラメンコと社会学的観念と、この二つはニコラにとって何か関連があるの?
「あんまりない。でも今は、フラメンコの分野でこの知識を活かす方法もありかな、と思ってるよ」
――スペインに、フランス人が住むのと日本人が住むのと、その難しさの大きさって違うと思う?
「はっきり言って、僕にとって日本は"他の惑星"って感じだから、日本人の方が苦労するんだろうなとは思うよ。
でも、ヘレス人とは話せないテーマについて、日本人の友達とは話せたりした。彼らとは論理的な話し合いができるんだ。たとえそれぞれの意見は全く違っていても、理性的に話し合えるし、討論できる。この点では、僕自身はヘレス人よりも日本人に共感するものがあるよ。
日本人の君が想像するよりも、フランス人とアンダルシア人の違いは大きいんだよ」
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ニコラは冷静に淡々と話してくれた。さすが思想の国の人。自由、平等、権利、政治についてディスカッションするのは、学生の頃からあたり前だったという。
多くの日本人の若者が夢見る、南仏プロバンスから来たスマートな彼は、南西アンダルシアに憧れている。
オシャレな南仏の青年に惚れられた、ヘレスからは一歩も出ない、しかしお腹はかなり出たヘレスおじさんは「ワッハッハ、そうだろ、そうだろ。なぁんせヘレスは世界一すんばらしい町なぁんだからな!」と5階まで響く大声で納得するに違いない。
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