第6回
失敗談

初めてのスペイン旅行、ポルトガルのリスボン空港で車を借りて一気に南下、最初に訪れたスペインの町がセビーリャでした。それにしても、到着してまず驚いたことは、主要な大通りですら真っ直ぐに走ることが出来ないクモの巣状の複雑な道路です。目的地まで目と鼻の先であるにも関わらず、迂回を繰り返してようやく辿り着けるといった事が日常茶飯事。しかし道路の複雑さはセビーリャに限らず、訪れたほとんどの町が同様でした。

そのような状況で地図を片手に格闘しながらフラフラ運転した時のこと。場所はグラナダでしたが、突然窓を叩く不審なスクーターの男性が現れました。最初は無視していたのですが、あまりのしつこさと並走する危険に耐えられず、とりあえず車を止めて窓を開けると、ツーリスト・インフォメーションだ、と言うのです。スクーターでサービスをしているなど寝耳に水、しかし、ワラをも掴む思いで目的地を告げると、何やら大きな鞄から地図を取りだし、なかなか丁寧に説明してくれるのです。随分親切だなと感心していた矢先、その地図を強引に購入させられてしまいました。これは一種のサギかなとも思いましたが、無事目的地には到着出来たので、真偽のほどはともかく、助かったことは事実です。

無理矢理といえばセビーリャでのこと。カテドラルの前で撮影していた時です。ふと前方を見ると中年のスペイン女性と目が合いました。次の瞬間、微笑みを浮かべながらツカツカと近づいてきて、何やら手に持ったハーブを私の手にねじ込み、有無を言わさずお祈りを始めたのです。あまりの唐突さに為すすべなく、お祈りの途中で立ち去るのも縁起が悪いかなと思い、されるがままになっていたのですが、実際お祈りは2〜3分だったでしょうか。これはやはりチップを渡さなければいけないんだろうな、とポケットを探ると、運悪く5ユーロ硬貨1枚しかありません。1ユーロで充分なのにと思いつつ渋々手渡そうとすると、彼女は眉間に皺をよせて厳しい表情で「ノー」と言うのです。なんと小銭は受け取らない、札をよこせ、と言う。そのフテブテシさ、強引さにすっかり呆れてしまい、同時にカモにみえてしまったスキだらけの自分の姿を思うと情けなく、大いに反省しました。

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