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第4回 すでに多くの人々によって幾度となく語られてきたアルハンブラ宮殿。しかし飽きることなく、誰もが語らずにはいられないアルハンブラ宮殿の魅力とはいったい何なのでしょうか。 宮殿の成り立ちは今更おさらいするまでもありませんが、ただ重要な点は、この城がイベリア半島におけるイスラム勢力最後の生き残りであるナスル王朝によって建設されたという事です。 この、自らの終焉をある程度自覚していたであろうアラブ王が、後世にイスラムの栄華の名残を留めようと壮大な建築物を着工したと考えるのは容易です。こうして、イスラム芸術の一大記念碑として、アルハンブラ宮殿は世界に、歴史に、その名を轟かせることになります。 では、イスラム芸術とはどういったものなのでしょうか。 偶像否定のイスラム教義に基づき、徹底的に具象性が排除された結果として、アラビア文字を図案化したアラベスク模様に代表される装飾文様や多彩な色を装飾面全体に展開していく傾向がそれを特色づけています。厳密な規律により生みだされた強力な統一的性格を帯びたアラベスク模様に彩られた城は、強烈な視覚的インパクトを与え、視覚的な美しさのみならずその無限性、連続性によって宇宙的様相を呈するマンダラ世界のようです。 しかし、そのある種過剰とも言える装飾は、強迫観念的な傾向を感じなくもありません。城全体を覆い尽くす装飾はどことなく「耳なし芳一」を彷彿とさせ、魔物封じのイメージを与えます。繰り返し刻まれた「唯ひとり、神だけが勝利者である」という言葉。人間の栄枯盛衰と比べ、神の絶対性を讚える滅びゆく王朝の嘆きがこめられていると考えるのは、センチメンタル過ぎるかもしれません。 しかし、凄まじいまでの宗教的熱意をもって建造されたこの城は、まるで建物それ自体がコーランであるかのようです。そして訪れる数百万の観光客に、イスラムの偉大なる神アッラーの教義を伝える役割を担っているとすれば、アルハンブラを讚える、それはイスラムを讚えることにほかなりません。 ナスル朝の思惑通り、我々は伝道師さながらアルハンブラ宮殿について語らずにはいられないのです! |
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