日本女子体育短大の卒業公演でスペイン舞踊を選択し、その時に教えに来てくださったのが佐藤桂子先生だったんです。専攻コースにはスペイン舞踊の科目もあったのですが、私は教職コースだったので、フラメンコはそれまで見たことがありませんでした。
卒業して2ヵ月後に佐藤先生の舞踊団に入りました。先生に声を掛けていただいたこともあるのですが、やはり私自身、スペイン舞踊、その中でもフラメンコに興味を持ったからだと思います。先輩には鍵田真由美さんや忍あつこさん、小島慶子さんらが居られました。
私はその時以来、ずっと舞踊団所属で今に至っていますけど、あっという間ですね、本当に。もちろん挫折しそうになったことはありますけど、やめたいと思ったことはないです。やはり、イヤだからやめるというのは自分でも悔しいですから。
フラメンコをやってきたことを誇りに思いたい
今は昼に個人レッスンを担当、夜は佐藤先生とローテーションでクラスを受け持っています。あとは幼稚園でモダンバレエ、芸術系の高校でスペイン舞踊の指導をしているほか、スタジオを借りて小さな教室も持っています。
今の高校生はスペイン舞踊をどう思っているかというと、これが男の子も含めて、みんな大好きなんですよ。「カッコいい」と大人気なんです。これまでは若い人にはアメリカで生まれた踊りが好まれてきたけれど、今はヨーロッパ系というか、フラメンコを含めたリズムや感性に興味を持ち始めているようです。私としては、どんなジャンルからであれフラメンコに入ってきてもらって、その魅力を伝えていきたいという気持ち。決して天狗になるわけではありませんが、今はフラメンコをやってきたことを誇りに思いたいですね。
| 生徒はみんな素材が違うし、その人がいちばん美しく見えるような指導を心掛けています。振りを指導していて、ある時ふっと、その人の踊りになることがあるんです。本人のものとして身に付いた瞬間ですね。そういう時、うれしいと同時に、何だかその振りが私の体から離れていくようで、思わず寂しい気持ちになることがあります。でも、自分が教えている生徒には、すごく愛情が持てるんです。私としては、いつも“一期一会”という気持ちで指導に当たっています。 |
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「創作」の舞台への取り組みが楽しい
最近はモダンバレエやコンテンポラリーダンスの舞台に招かれて、個人で出演させていただく機会も増えました。もともと舞踊団の方向性として、創作性の強い作品に取り組むことが多いですからね。そういう公演を観て、声を掛けていただくようです。私としては、いろんな踊りに取り組みつつ、日本人として、他国の民族舞踊、異文化について考えていきたいと思っています。
舞踊団では、毎年、普遍的な題材をテーマに、創作の公演を続けているのですが、今年の公演(12月2日「薔薇の話をしよう」)は、人間の一生を薔薇の花に例えたテーマです。悠久なる自然の中に人間が存在し、それぞれが違った生き方をする。そして、やがて死が訪れ、自然の中に戻っていく。生きていく中で、あなたは今、何色に変容していますか?という問いかけでもあるんです。
公演では毎年、新しい試みに挑戦しています。キーワードは静と動。照明や美術による人工的な美を追求する一方で、フラメンコという肉感的な踊りを表現していくところに面白さがあるようです。両者がフィットした時に最高の美しさが出せるのだと思います。
こうしてフラメンコの可能性を探っていくことが、私にとってはすごく楽しい作業なんです。私自身、佐藤先生、山崎泰先生の創作への取り組みに参加させてもらえたから、ここまで頑張って来れた、踊りの精神について来れた、という思いです。「フラメンコを媒体として自分たちを表現する」のが公演の主旨だと思うのですが、やっと今になって、それぞれのヌメロの楽しさを感じられるようになったかな、という感じです。
常に自分らしく、淡々と
それと、やはり創作の世界への窓口を教えていただいた先生方に師事したことが大きいですね。甘えることも驕ることもなく、いつまでも淡々と続ける精神は最も見習いたいところです。
私にとっては「先生であり、同志でもある」という気持ちもあるのですが、先生には当然、「あなたが知らないことを知っている」という部分がある。だけど、そういうことは一言も仰いません。ただいつも、淡々と取り組む。年齢は重ねても精神は痩せてこないんです。そこが凄い。
今の日本は、手に入らないものはないでしょう?それだけに、一つのことを、しかも淡々と続けられるというのは、逆にすごく大事なことだと思うんです。
私も、常に自分らしくやっていきたい。踊りの振りにしても、人のものをもらってくるだけではなく、少しでも自分らしいものとして出せるようになりたい。佐藤先生にずっと接してきて、まずは人間的な魅力を磨くことが大切なんだと勉強させられました。その人の魅力を考えた時、振りがどうとか、そういうことはごく一部のことですものね。
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好きなヌメロはシギリージャ・コン・マルティネーテ。「舞台で何度も踊っています。自分の思いをいちばん出せると思うから。モダン的な要素を取り入れたりもしています。中性的な要素があるのも魅力的ですね」 |