板坂 いい舞台だったね。私はもともと踊りに限らず、違ったジャンルのものを組み合わせて作る舞台というのはすごく好きなんだけど、かなり楽しめた。
酒井 シチュエーションがいいですよね。デートの場所としてもいいと思うな。
板坂 セッティングも含めて、ライブの場所として今まで見た中で最高だった。僕自身、ここで踊ってみたいと思ったからね。こんなことはめったにないですよ。
酒井 板坂さんがそう言われるくらいだから、すごくいいんでしょうね。
板坂 見に来た人たちは熟年の夫婦が多かったようだけど、僕はむしろ若いカップルにもいいと思ったね。
酒井 私も、若い人が来たら楽しめると思いました。
板坂 映画と同じで、出演者は見ている人の代理として踊っているわけで、見る側としては、そこにいかに感情移入できるかがポイントになるわけですよ。私はアルゼンチンタンゴやフラメンコに激しく感情移入できるカップルというのは、案外、うまくいっていない場合が多いと思うな。
酒井 え、どうしてですか?
板坂 当然、自分たちよりステージで踊っている人の方が美しくて燃えたぎっているわけで、あんなふうになりたい、羨ましいっていうふうに、どうしてもステージ上の自分たちの代理人への感情移入が激しくなるわけですよ。その点、うまくいっているカップルというのは、自分たちに近いと思うだろうから特にギャップを感じることもなく、少し醒めていられると思う。
酒井 じゃあ、アルゼンチンタンゴやフラメンコをカップルで見る場合は、これから(カップルになろう)っていう人たちがいいんですね?
板坂 そう、男はその段階で誘うのがベストだと思う。はっきり言って、ここに女性を連れてきて口説き落とせなかったら、その男はよほど女性を口説く才能がないんだと思う。それほど素晴らしいシチュエーションであり、ショーだった。この場所でこの舞台を見たら、たいていの女性はその気になりますよ。僕たちも、見終わった後に対談というのはもったいない気がするな。
酒井 そうですね(笑)
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