東京・高円寺にあるタブラオの老舗、カサ・デ・エスペランサのオーナーである田代淳さんを迎えての対談は、シリーズ初の男性同士によるものとなった。フラメンコについて熱く語る二人だが、旧知の間柄でもあるだけに、話はいつもよりさらにあやしい方向に…。
 第3回  熱い血がいいライブを作る


「見る人のノリがいいのは、劇場ではなく店でのライブ」

田代 1 月に六本木でライブをやったよね。


板坂
 スイート・ベイジルでやったんだけど、ステージからは客席のみんなが横を向いて座っているように感じるし、逆に客席からはステージが低いから下半身が見にくいとか、苦情の 10 件や 20 件は出るかもしれないと思っていたよ。でも、来てくれた人は皆、大満足だったようで驚いたね。

田代  スイート・ベイジルはライブハウスとしてステータスもあるからね。同じフラメンコを見るにしても、場所はいつもとちょっと違う六本木だし、店に入った雰囲気もいつもと違うし、ちょっとこじゃれた料理が出るなど、確かに新鮮な気持ちにはなると思うな。

板坂  ところで、店で踊って改めて感じたんだけど、劇場と店で同じくらいの出来の踊りをしたとしたら、見る人のノリとしては店の方がはるかにいいよね。

田代  それはもう、如実に違うね。

板坂  それって何なんだろう、フラメンコというのはやっぱりそういうものなのかな。例えば他の音楽はお店でやったらダメという場合もあり、それぞれのアートにふさわしい場所があると思うんだけど、フラメンコというのは、やはり劇場には合ってないのかなとつくづく思ったよ。

田代  フラメンコの生い立ちを考えてみると、最初から劇場を意識してできたわけではないし、もともと劇場ではない場所でやることが多かったからね。それを劇場でやるためには、いろいろな部分をそぎ落とさなければならないし、研磨しなければならない。

板坂  私は研磨するというより、付け加えなければならないのだと思う。例えばロックの場合も、純粋なロックンローラーにとっての本来のロックというのは、皮ジャン着て、穴のあいたジーンズ穿いて、 100 人くらいの観客を相手に薄暗い地下室でやるもんだって言う奴もいるんだ。東京ドームでやるのは、あれはロックではなくて、エンターテインメントなんだとかね。でも、それを東京ドームに持って行く人たちというのは、それなりの仕掛けを作っている。だけど、フラメンコはお店から劇場に持って行った時もほとんど同じことをやっているように感じるんだ。

田代  踊りそのものも、全然変わらない場合が多いしね。


板坂  舞台装置とか美術、照明においても、それなりにもう少し違ったものを加えて見せるようにしなければいけないんじゃないかと思う。劇場の場合、どうしてもノリが落ちる場合があるからね。

田代  中味は同じでも、箱を変えたり包装紙をつけたり、“贈答用”にしなければならないんだよね。

板坂  曲と曲の間の取り方なども、もう少し何とかならないかなあ。店でやる時も劇場でも、まったく同じだからね。ギターのチューニングとか。

田代  ギターの場合、どうしても狂いやすいからね。でも、反応に間があるというのは確かだね。



今回の対談場所はここ!
Amor de GAUDI
アモール・デ・ガウディ
東京/六本木
03年6月、六本木通りの裏通りにオープンしたスペイン料理店。六本木ヒルズの誕生で界隈も一変したが、瀟洒な建物とショップが建ち並ぶ一角にありながら、フレンドリーで温かみのある雰囲気で気軽に立ち寄れるのがうれしい。不定期ながらフラメンコライブも行っている。
●東京都港区六本木6-2-7ダイカンビル1F(地下鉄日比谷線六本木駅から徒歩1分、南北線麻布十番駅から徒歩8分)
●電話:03-5771-2318
●営業時間:ランチ11:30〜14:30(ラストオーダー)、ディナー17:30〜24:00(ドリンクラストオーダー。料理のラストオーダーは23:00)。土・日祝はディナータイムのみ。
●無休


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