2005年の春にスペイン留学から帰国して、フラメンコの指導を始めました。西永福でスタジオを借りてクラスを開いたのは去年の春。遠方から熱心に通ってくれる生徒もいて、とてもやりがいを感じています。
私自身、教えることが好きですし、今は教えていてとても楽しい。来年1月には初めての発表会を行うので、生徒もそれに向けて頑張っています。
先生としては、ちょっと厳しいかもしれません。でも、私は性格的に曖昧な状態が続くのがイヤなので、生徒に対しても、分からないことはその場で解決してあげることを心掛けているんです。
フラメンコって、個性が出るところがいいですよね。自分と向き合えるところが私は好き。まずはフラメンコを好きでいることが大切、という話を生徒にもよくするんです。好きで続けていれば、壁にぶつかっても必ず抜け出すことができますから。
大学時代にフラメンコを始めて
2年でスペイン短期留学
私がフラメンコを始めたのは、大学時代。サークルに入ったのがきっかけでした。それまで踊りは何もしたことがなかったのですが、妹がクラシックバレエを習っていて、その先生がフラメンコも教えておられたので、フラメンコを見る機会はあったんです。踊りというよりも、フラメンコは音楽的に面白くて興味がありました。
サークルの講師だったのが岡野裕子先生。とても熱心に指導してくださいました。当時はサークルも、かなり個性的な人たちがそろっていて、お互いに刺激しあっていました。私もどんどんのめり込み、大学2年が終わるころには「ちゃんとフラメンコをやる!」と思い込むようになって…。
今でも自分ですごいと思うのですが、それで本当にスペインに短期留学に行ってしまったんです。「本場で習わなきゃ」って(笑)。それまで海外に行ったこともなければ、飛行機に乗ったこともなかったのに。そして、3年の終わりごろには「この先、ずっとフラメンコをやっていく」と本気で思うようになっていたんです。今思うと、何て無謀なのでしょうね!
大学卒業後は、改めて岡野先生の教室に入って師事しました。不器用でなかなか上達しない生徒だったのですが、やる気だけはあったみたいです。ひたすらその背中を追い続け、よく「踊りが似ているね」と言われました。また、踊りのことだけではなく、フラメンコのプロとしてやっていくための心構えなど、本当に親身になっていろいろなことを教えてくださり、たいへん感謝しています。
岡野先生のところを卒業したのは、2003年の秋からのスペイン長期留学を決意したとき。長期で行けること機会というのはそれほど何度もないので、このときは私も覚悟を決めての旅立ちでした。
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スペイン長期留学時代。ソラジャ・クラビホと |
スペイン長期留学と
帰国後の決意
スペインでは、この人に習いたい!と思った人にはすべて習いました。エバ・ジェルバブエナ、イスラエル・ガルバン、パストーラ・ガルバン、ソラジャ・クラビホ、イニエスタ・コルテス、アンヘリータ・バルガス…。
留学中も自分の踊りに関していろいろと迷いがあったのですが、あるとき「それがあなたの踊り、あなたの個性」と言われて、ふっ切れました。何だかすごく開放された気持ちになったのを覚えています。踊りが上手いかどうかではなく、強烈な個性で自分が感じるままに踊る人たちに囲まれながらのレッスンは、自分が何であるかを否応なしに考えさせられましたね。
それを境に、自分の路線のようなものがぼんやりと分かりかけてきた気がしました。外に向かうエネルギーだけでなく、内側に向けての強いエネルギーも合わせ持った、そんな求心力のある踊り手、それが私の目標なんです。帰国後のことを考えていた時に頭に浮かんだのは、以前舞台を見て感激した森田志保さんでした。
絶対にこの人に習おう!と思っていた時に、たまたまヘレスフェスティバルの開催時に志保さんにお会いする機会があって、その場で「私、習いたいんです!」と告白。突然のことに困惑した志保さんの顔を今でも覚えています(笑)。
そして、帰国してすぐに教室に行って、また「私、習いたいんです!」と。今も志保さんには師事し続けています。
志保さんは、舞台でのあの存在感、空間を自分の色に染め上げるところがすごい。でも、指導においては、決して生徒を型にはめないので、自分の良いところを伸ばしてもらっている感じです。とてもありがたいですね。
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求心力のある、芯の強い踊り手になりたいと思っています |
型にはめない、
その人の個性を生かした指導を心掛けています
私が生徒に教えるときも、そのことを心掛けるようにしています。その人の個性を生かしたいと。型にはめてしまうと、どうしても窮屈な踊りになってしまいますし、その人自身が気持ちよく踊れることが大切と思っています。
あと、振りだけを追うような、そういう教え方はしないようにしています。テクニックはもちろん必要ですが、唄を聴いて感じたり、マルカールを大切にした踊りをめざしているんです。
そして、これは私の目標でもあるのですが、空間のない、平たい踊りではなく、まわりの空気を動かすというか、まわりの空気さえも運びこんでくるような、そんな求心力のある、芯の強い踊り手になれるように、生徒とともに頑張っていきたいと思っているんです。
私自身、最近ようやく、自分が素直に踊るとどうなるかということが分かってきました。もともと頭で考えて踊るタイプのようなのですが、特に意図しないで素直に踊ると、「オレ!」とハレオをかけていただけるんです。よく私の踊りを見た方から、「堂々としている」「踊っているときに何が起こっても動じない」と言われたりするので、私の踊りはそういう印象みたいですね(笑)。これが私の踊りですと自信を持って舞台に立てるように勉強を続けていきます。
個人的な目標としては、2月にマルワ財団のコンクールに出演するのと、森田さんの舞台(2月のエルフラメンコ40周年記念ライブ、3月の森田志保フラメンコリサイタル“はな5”)に全力を尽くし、教室の目標は、来年1月の発表会です。
教室での指導は腰を据えてやっていくつもりです。この先、長く続ける生徒が育ってほしい。そのためにも私なりにフラメンコの良さ、楽しさを伝えていきたいと思っています。井の頭線の西永福駅から歩いて約3分。入門クラスは無料体験レッスンも行っていますので、ぜひのぞいてみてください!
撮影:エー・アイ |
フラメンコが初めての方も、ぜひ教室をのぞいてみてください |
取材・文 藤戸良彦
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