第52回

丸岡まゆみさん(舞踊家)


 平日は旅行会社に勤務し、ヘレスフェスティバルなど多くのスペイン旅行・留学を手掛ける一方、夜と週末はフラメンコの指導を行う丸岡まゆみさん。その経歴も異色だが、教室の運営・指導方法も個性的。教室20周年となる発表会が4月29日に開催されるが、ここにも数々の創意工夫が盛り込まれている。


フラメンコ“ラ・ロッサ”20周年記念発表会
「Fiesta2005」は4月29日(金・祝)15:30から
府中グリーンプラザけやきホールで開催
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 発表会は年に一度、府中のライブハウスでミニコンサートとして行っていて、一般のお客様も含めて毎年、なかなかの盛況なのですが、今年は教室を開いて20年ということもあり、劇場で行います。出演は15人。いちばん新しい人は入って半年足らずですが、あとの人は全員がソロを踊ります。

 毎回、生徒にソロ出演の希望を募るのですが、ほぼ全員が手を上げますね。発表会に向けて、その人のレベルに合わせた振付けを個人レッスンで行います。発表会の後のことを考えると、その方が格段に上達が早いんです。他の教室では考えられないことかもしれませんが、私は自分がいいと思ったことはどんどん実行に移します。群舞においても全員が同じ踊りをするようには教えていませんし、衣装もお揃いではありません。本来、フラメンコは個人の踊りですし、私はその人の個性を尊重した指導を行いたいですから。アドバイスはしますが、その人なりのかたちがあってもいいと思うんです。

好きなアーティストはイザベル・バジョン。踊りが潔くてエレガント。アンヘリータ・ゴメス。年をとっても素敵。生きたブレリアです!あとはジェルバブエナも好き。今凝っているヌメロはペテネラ。すごく好きなのはソロンゴ。今回の発表会ではバタ・デ・コーラで踊ります。それから文句なしに大好きなのは、もちろんブレリア!

 今年の舞台では、カルメン・リナーレスの曲をMDでかけて踊るという試みもあります。いつもは小さなステージで踊ることが多いですし、生徒には、ふだんやらないことを経験させてあげたいですからね。

 毎回、ミニコンサートや発表会に出演する歌とギターの人たちも、みんな昼は普通に働いていてプロではありません。ただし、若いころからアマチュアで腕を磨いてきた人たちなので、実力は確か。今もすごく勉強していますしね。もう長年、この体制でやっていますが、すごくうまくいっています。このへんも、他の教室とはかなり違うかもしれません。

働く女性として、生徒の立場に立った教室運営を実践

 生徒はほとんどが仕事を持つ女性。20代後半から30代で、みんな仕事も忙しいようです。私も同じように、昼は仕事を持つ立場。忙しくて練習に行けない、などの生徒の悩みもよくわかるんです。

 実は私の教室では、上級を除いてはクラス分けをしていません。人数がそれほど多くないということもあるのですが、初心者もうまくなるのが早いですよ。生徒同士、年齢が近いですし、クラスの先輩が後輩に教えることで、コミュニケーションがすごくうまく取れており、「ここに来なければ出会わなかった人と知り合えた」という声が多いです。本当に、クラスは私も含め、みんな仕事を持ちながらフラメンコを追求する仲間といった雰囲気なんです。そのリーダーとして突っ走っているのが私、といった感じですね。

 私自身は今、振付けをすることがすごく楽しいです。あと、クラスにカンテ(歌)の方を呼んで月に一度、カンテクラスも行っているのですが、これは、私も生徒の一人として受講します。もちろん、踊りのための歌の勉強ではありますが、みんなには「ルンベーラをめざそう!」とハッパをかけています。

フラメンコのキャリアを仕事にも生かす

 私は大学卒業後、旅行会社に就職し、その後、フラメンコを始めました。学生時代にフォークダンスをやっていたのですが、ダンスの中でいちばん難しかったのがセビジャーナスで、それで興味を持ったんです。

 自宅の沿線でフラメンコ教室を探して見つけたのが山田恵子先生の教室。習い始めると楽しくてしようがなくて、レッスンを休むのが惜しかった。添乗の仕事が入っても、いろいろと理由を作って行かないことも多かったですね(笑)

 一時期、出産のために仕事も踊ることもやめたのですが、娘が1歳になった時、踊りを再開しました。旅行の仕事もまた始め、フラメンコと旅行の仕事を結びつけることを考え始めたんです。「自分が行きたい旅行を作れば必ずヒットする」と思って、いろいろな企画を考えました。

フラメンコは私の生きる糧(かて)。フラメンコがなければ呼吸できなくなるかもしれません。今年のヘレスフェスティバルでは娘と同じクラスを受講しました。修了証をもらう時、まわりの人たちが親子ということを知って驚いていました(写真は府中桜祭り)

 仕事を持つ女性が休みを取って参加しやすいようにと、マティルデ・コラルのレッスンを、土日をはさんで1週間で受けられる企画を立てたら、1年目から20人の人が集まりました。その後、始まったばかりのヘレスのフェスティバルに参加する企画を考えたのですが、今も多くの方が申し込んでくださいます。

 フェスティバルは年々充実してきて、今年も多くの日本人が参加されていましたが、個人で申し込まれた場合、ホテル選びで苦労する方が多いようです。お部屋の空調や朝食の良し悪しなど、ホテル選びのポイントはたくさんあるので、料金だけで決めない方がいいと思います。特にレッスンを受ける人はエネルギーを消費しますからね。レッスンに通うための、ホテルの立地も大きなポイントだと思います。今年はヘレスフェスティバルのパッケージツアーを実施したのですが、来年どうするか、今から検討していきます。

 私の教室ではプロをめざす人ではなく、生活に潤いがほしい人、自分の世界を持ちたい人を歓迎しています。生徒は沿線の人が半分くらい。遠方から通っている人も多いですよ。イベント出演も多くて、赤坂のライブハウスでも定期的にライブを行うことになりました。

 私は本当に、人がやっていることというのはあまり気にならないんです。自分がどう思うか、ということを大切にしています。だから昼の仕事との両立で20年やって来れたような気がします。教室に興味を持った方はぜひ問い合わせてください。

ミニコンサートは府中市のライブハウスFlightで行われる

取材・文 藤戸良彦