第49回

藤井かおるさん(舞踊家)

  東京と仙台に教室を持ち指導に励む傍ら、ライブ出演も活発で多忙な日々を送る藤井かおるさん。2月5日に自らプロデュースする初の公演を、出身地の仙台で開催する。「小島章司先生にフラメンコを学びたい」という決意のもと、東京に移り住んで約10年。目標を持って夢を次々に実現してきた彼女に、公演のこと、教室での指導について、そして将来の夢について話をうかがった。


藤井かおるプロデュース公演
「Invierno Flamenco」は2月5日(土)18:30から
Zepp Sendaiで開催
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2004年2月マルワビエンナーレにおいて

 2月に公演を行うことになったきっかけは、ふだん仲のいい浅見純子さん、矢野吉峰さんと一緒にいて、私の故郷である仙台のことに話が及んだ時。「仙台で公演やならいの?」という一言でした。

 それならと東京の親しいフラメンコ仲間に声を掛けて、いろいろと大変ではありましたが実現することになりました。仙台にもフラメンコが大好きな方が大勢いますし、まだ見たことがない人たちにも、ぜひフラメンコの楽しさを知ってもらいたいです。気の合う仲間たちが集まって一つの舞台を創る、そのエネルギーが少しでもお客様に伝わればと思っています。

 出演は踊りだけで6人。バラエティに富んだ、見ごたえのある舞台をお見せしたいです。ソリストがそろっているので、ソロは基本的にそれぞれにお任せ。といっても、ただ一人ずつソロを踊るというわけではありません。そのへんは楽しみに見ていただきたいと思います。

 リハーサルにおいてみんなで意見を出し合って舞台の準備を進めるという作業は、私はとても好きなんです。それは私自身、舞踊団の時から舞台で踊ることが多かったせいかもしれません。練習も積めますし、ぶっつけ本番のタブラオより、今も舞台で踊る時の方が気持ち的には楽ですね。

 今回、仙台で公演をできることがすごくうれしいです。やはり生まれ育った所ですし、大好きなんです。東京はフラメンコ人口も多いですし、いろんな意味でフラメンコに接し、学ぶ機会は多いですが、仙台にも東京にはないものがたくさんありますからね。今は東京を拠点にクラスで教えたりライブ出演したりしていますが、2003年の3月から仙台にもカルチャーでクラスを持つことができ、今後は仙台でのクラス運営にも力を入れていくつもりです。

「これまで小島先生のほかにAMIさん、イニエスタ・コルテス、パストーラ・ガルバンといった人たちからフラメンコを学んできましたが、それらを私なりに吸収して、いいかたちにしていきたいと思っています」。写真は1997年、小島章司氏のスタジオ発表会にて

藤井かおる流10年計画

 私はとにかく、小島章司先生の舞台を見て、「私もこの舞台で踊りたい!小島先生にフラメンコを習いたい!」という一心で仙台から東京に出てきたんです。

 もともとフラメンコは、ダンス好きの母に、「やってみたら?」と勧められ、仙台にいる時から習ってはいました。でも、舞台を見てその時に決めたんです。どうしても小島先生にフラメンコを学びたいと。当時、仙台ではちょっとモデルの仕事をしつつアルバイトをするなどして生活していたのですが、それらをやめて東京に出てきました。

 小島先生のスタジオに入って学んだことは仙台で教わってきたフラメンコとはまた違い、ゼロからのスタートとなりました。生活においても東京ではゼロからでしたが、小島先生にフラメンコを学ぶために東京に来たのだからと自分に言い聞かせ、六本木のレストランでアルバイトをしながら、ひたすらフラメンコの練習に明け暮れる毎日でした。すべてにおいてフラメンコ最優先でしたね。

 仙台から東京に出てくる時に、3つの目標を決めたんです。1つ目は舞踊団に入ること、2つ目はソロを踊れるようになること、そして3つ目は10年で仙台に戻ってフラメンコを教えたい、ということです。

 小島先生の公演を見て衝撃を受けたのが94年。翌95年8月から小島先生のスタジオに入って、96年から舞踊団の公演に出させていただくようになり、98年から代教、そして今は東京と仙台で教える日々ですから、ここまでは何とか目標を達成できたかなという気がします。今年がちょうど10年目なので、今後、仙台でも活動をしていきたいというのは、そういう考えがあってのことなんです。

「好きなアーティストはイニエスタ・コルテス。最も影響を受けた人です。それからパストーラ・ガルバン。ほかにアレハンドロ・グラナドス、メルセデス・ルイス。歌い手は大勢います。好きなヌメロはタラント、アレグリアス。その時々で変わりますけど」。写真は2000年「フラメンコルネサンス21」より

今後の目標、そして最終的な夢

 でも、フラメンコを教える立場としてはまだ新人ですし、いろいろと悩みは尽きません。どうしたら生徒が楽しくフラメンコを学び、上達するか、あれこれ考えてしまいます。

 ただ、そうして悩みながら教えていくことで私自身も学ぶことが多いですね。何よりも、生徒が上達していく過程を見るのが好きなんです。だから教えることにはもっと力を入れていきたい。「生徒を育てる」というのが、今後の目標といえるかもしれません。

 私のモットーは「いいと思ったことは行動にうつす」こと。私もそうしてきたし、生徒にも、やりたいことをどんどんやってほしいと思っています。

 実はもう一つ、最終的な夢があるんですよ。それは、スペインの友人でもあるアーティストを呼んで日本で公演を行うこと、一緒に舞台で踊ることです。いつか実現するためにも、もっと自分を磨いていきたいと思っています。

2月5日の公演「Invierno Flamenco」出演者
踊り:浅見純子、権弓美、藤井かおる、池上源太朗、伊集院史朗、矢野吉峰 カンテ:阿部真、有田圭輔 ギター:西井つよし、長谷川暖

写真は01年11月、小島章司氏の公演「アトランテォイダ幻想」での舞台。この公演で舞踊団退団

スペインでのひととき

 

取材・文 藤戸良彦