第46回

手下倭里亜さん(舞踊家)

  昨年に続き、フラメンコライブ「新宿夏祭り Vol.2 」が 7 月 21 日(水)にエルフラメンコで開催される。ヘレス在住のフラメンコ舞踊家、アナ・マリア・ロペスが友情出演し、ヘレス色豊かに繰り広げられるステージは昨年、たいへんな盛り上がりだった。出演者の一人、手下倭里亜さんは舞踊活動とスタジオでの指導に意欲的に取り組み続ける。ライブを目前にした週末、お話を聞いた。


手下倭里亜さん出演のフラメンコライブ
「新宿夏祭りVol.2」は
7月21日(水)19時開場・19:30時開演で
新宿・エルフラメンコで開催
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写真は前列左が手下倭里亜さん、右は大沼由紀さん


 「新宿夏祭り」は友情出演するアニー(アナ・マリア・ロペス)との縁があって、今年も開催することになりました。フラメンコライブとしては異色ともいえるタイトルなのは、「フィエスタ(宴)」ということを強調したかったから。日本でフィエスタといえば、あちこちで開催されるお祭りということですが、季節感も出したかったので、共演の大沼由紀さんやスタッフの方と相談して決めました。去年は浴衣を着て見に来てくれたお客さんもいらして、いつものライブとは違った雰囲気もあって楽しかったです。

  「日本のフィエスタ」 とはいっても、コンセプトは「ヘレス」なんです。これは、やはりアニーの存在が大きいですね。彼女は今ではヘレスでも踊りの指導が中心で、ごく稀にペーニャで踊る程度。タブラオで踊ることはまずありません。その彼女がエルフラメンコのステージで踊るのだから、それを見るだけでも価値があると思います。出演者も、大沼さんはヘレス仕込みのブレリアが有名だし、ギターの俵英三さん、鈴木尚さんら、ヘレスに縁(ゆかり)のある人ばかり。フラメンコの「楽しい」「面白い」という部分を素直に表現し、感じていただきたいです。

 私もそうですが、他の出演者の方も、このライブではフラメンコの持つ本来の面白さ、唄とギターと踊りが三位一体となって舞台を作り上げていく醍醐味を追求したいんです。そのためにも「即興性」ということを大切にしたい。去年もそうだったのですが、あえてライブの前日までリハーサルはやりません。これは私にとっても大沼さんにとっても、踊り手としての挑戦でもあるんです。当日の客席のノリも大いに影響しますので、多くの方に来ていただいて、いっしょに盛り上がりたいと思っています。

 できれば、フラメンコをまだよく知らない方にも見ていただきたいです。そして、私たちがこのライブで追及するフラメンコの面白さ、さらにヘレスならではの踊り、ブレリアを見て、踊りの楽しさを感じ取っていただけたらと思います。一口にフラメンコの踊りといっても、ゲスト出演のアニーとカルメンの踊りは純粋なヘレス仕込み、お酒でいうと間違いなくシェリー酒ですが、私たち日本人の踊り手は日本酒といったところでしょうか。そのへんの違いも感じていただけたらと思います。

 踊りではアニーとカルメン、大沼さんと私が、そしてギターの俵さん、鈴木さん、カンテの今枝友加さんも、それぞれソロを演じます。

7 月からセミプロ・プロ養成のための研究科を開始

 私自身、やはり踊ることが大好きなのですが、教えることにおいても、特に今のスタジオに移ってからのここ3年くらいは、いろいろな試みをしています。

 本来、自分で踊ることと人に教えるということは全然別なんですよね。今は、自分の生徒一人ずつの個性をきちんと見極めて、伸ばしてあげたいという気持ちが強いです。そのためにも、伝えるものが薄くなることはしたくない。できるだけ私自身の目で、きちんと見ていきたいという気持ちが強いです。

スタジオはJP・地下鉄御茶ノ水駅、地下鉄湯島・末広町駅から徒歩5分〜9分。都心にありながら広々としたスタジオは40坪で天井も高く、ライブが行われることも多い。手下さんの人柄もあり、スタジオの雰囲気はとてもオープン。親子クラス基礎クラスからセミプロ・プロ養成科まで独自のクラス編成と指導が行われている。

 7月から始めた研究科も、その一例です。これは、ギターやカンテの人たちと意志を通じ合わせながら、お互いの主張や表現を通じて曲を作り上げていくという、ワークショップのようなもの。こうした作業を通して生徒が 自分自身を知り、表現方法やヒントを見つけることができればと思っています。外部の方もオーディション制で受け付けていますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

 ほかにも、親子でフラメンコを楽しむクラスなど、オリジナルなクラスをどんどん作っています。今の湯島のスタジオはとても広くて、スタジオライブも開けるんです。発表会は2年に1度で先日、行ったばかりですが、ふだんはスタジオライブで踊りの腕を磨いてほしいです。それが生徒の励みにもなると思っているんです。

取材・文 藤戸良彦