パーカッションと踊り。フラメンコにおける専門パートが異なり、それぞれ別々にクラスを持つホセ三浦さんと古谷真理子さんだが、お互いのフラメンコの価値観は驚くほど一致している。クラスのこと、将来の計画など、熱い思いを聞いた。


古谷真理子さんがライブ出演します。
恵比寿・サラ・アンダルーサで
11/11(火)
18:45(一部)、21:00(二部)から。
アンドレス・ペーニャと共演。
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―現在のクラスの状況を教えてください。

古谷 私はいま、高田馬場と中野でクラスを持っています。初心者クラスは週に1回ですが、中級クラスは週に2回あります。あとは、茨城県の古河でもクラスを持ち、週に1回教えに行っています。このほか、個人レッスンも行っています。

ホセ 古河では、ライブハウスを改造してレッスンができるようにしてもらっているのですが、そこのオーナーがクラス運営に気合いが入っていて、生徒さんもかなり増えました。初級クラスなんですが、いずれ生徒さんもフラメンコの面白味がわかってくると、パルマを叩いてみたり、クアドロを作りたくなったりする時が来る。そうなると、私が教えに行くことも出てくると思っています。

たとえば彼女がライブ出演などで指導に行けない時は、振替えでレッスンを行うのではなく、私が行ってパルマを教えたりする。そうすると、フラメンコの勉強にもバリエーションが出て、もっと楽しくなると思うんです。これは、古河のクラスに限ったことではなく、他のクラスにおいてもぜひやりたいと考えているんですよ。

古谷 踊りのクラスでは、パルマなどリズムの勉強もできる。また、パーカッションを学んでいる人は踊りを交えて実践的なレッスンができる、というわけです。

―ホセさんは現在、どのような指導をされているのですか?

ホセ カホンとパルマ、ラテンパーカッションを教えており、グループの場合もありますが、個人レッスンも多いです。日時や場所もその時々で変わります。方針としては、できるだけその人の個性や長所を伸ばすよう、やる気が出るような指導を心掛けています。

他ジャンルの音楽で打楽器をやっていてフラメンコに興味がある人と、踊りをやっていてカホンやパルマをやってみたいという人が多いですが、興味がある人ならだれでも歓迎ですよ。フラメンコの場合、特にリズムが大切なので、カホンを叩くことだけではなく、パルマの打ち方など、いろいろな角度から教えています。コントラ(裏打ち)などもすぐできるようになると思いますよ。とにかくコミュニケーション重視で、まあ、基本的には笑いが中心ですね(笑)。

―古谷さんの指導方針として「心で踊る」とありますが、具体的にはどのようなことですか?

古谷 踊りにおいて振付けは大切ですが、次はこれ、その次はこう…と、そのことばかりに頭がいってしまっては、踊っていても楽しくないと思うんですね。

私が大切にしたいのは、振付けに支配されることなく、フラメンコを心から楽しむということ。フラメンコって、歌も毎回、歌い手によって違うし、生きたものですよね。だから、教えられた通りの振りで踊るのではなく、歌やギターに合わせて、自分が踊りたいように踊ってほしいと思っているんです。振りはクラスで教えますが、それに縛られることなく、心からフラメンコを楽しんで踊ってほしいということです。

レッスンは体の軸の作り方、ブラソ、パルマなどのほか、振付けは30分くらい。初めての人にはCDをかけて、古谷さんが自ら歌って教える。「そのうち、セビジャーナスも自由に踊れるようにしたい。振付けの部分は歌に合わせて教えています」

―そうなるには、かなりの時間と経験が必要なのでは。

古谷 もちろん、これは長期計画です(笑)。でも、ふだんからそのことを意識して教えています。次はどういう振りにするか、ということの引き出しをいっぱい作っておいて、自由に使えるようになってほしい。私が教えることというのは、その引き出しに閉まっておくための振付け。どうぞ好きな時に、ご自由にお使いください、ということです。

共通したフラメンコの価値観、将来の夢

―お二人のフラメンコに対する考えというのは、かなり共通しているようですね。

ホセ まったく同じ、と言ってもいいくらいです。同じフラメンコを見て、気に入った点、気に入らなかった点というのも、ほとんど同じ。最初からそんな感じでしたね。

古谷 フラメンコに関する価値観が同じ、ということだと思います。自分たちの感じるフラメンコをやりたいという思いも共通していますね。だからこそ、将来はお互いの生徒さんを交えてクアドロをやりたいんです。

ホセ 実は、私のクラスの生徒さんが中心になって、すでにクアドロを形成して活動しているんですよ。いま2つのグループがあって、カホン、パルマ、踊りにギターと、すべてアマチュアの人たち。会費を割り勘にして、月に1、2回集まって練習して、たまにはライブもやろうということになっています。

1つのグループは、すでに3回ライブを行いましたが、個人レッスンの生徒さんの場合、練習の成果を発揮する場がないので、こういう機会を持つことはすごく励みになるんですよ。こうしたところからも、フラメンコを楽しむ場が広がってほしいですね。

「合同でクアドロを作って、ライブをやりたい」

―フラメンコとはどのように出会ったのですか?

古谷 スペインを旅行中、マドリッドのタブラオで見たフラメンコにとても感動したんです。ほかの観光客の人たちがみんな寝ている中、一人で感動していました。

でも、日本に帰ってからもすぐにはフラメンコを習いませんでした。というより、日本でフラメンコを教える所があるなんて知らなかったんです(笑)。それで水村繁子先生の所に通って、1年ほどしてからスペインに行きました。


パーカッションと踊り。専門分野は異なっていても、二人のフラメンコについての価値観は一致している。相互の生徒が切磋琢磨して成長し、合同でクアドロを結成する日が来るのが楽しみ。

その時の私の経験とレベルからすると、すごく無謀なことだったですけどね。まだ早いと思ったんですけれど、でも行ってしまった(笑)。その後もスペインには定期的に行きました。

私の場合、日本にいる時は教室で教わりながらタブラオでアルバイトをしていたので、セビジャーナスしか踊れないような、かなりレベルの低い時からお客さんの前で踊る機会があったんです。踊っているうちにほかの先生から仕事をいただいたりして、気がついたらフラメンコを仕事とするようになっていた、という感じです。

ホセ 私はもともとラテンやサルサなどの打楽器をやっていて、フラメンコとは縁がなかったんです。ところが、フラメンコ・ギタリストの高橋秀男さんと知り合い、いろいろと話をするうちにフラメンコに傾倒してしまって。

ホセ・セラーノ・バスケスという、当時フラメンコ界におけるパーカッションの第一人者に師事したのですが、日本で多くのフラメンコ関係の方と接したり、実際に日本での公演の舞台に立って、まわりがみんなスペイン人、という環境の中で必死になって勉強したことの成果が大きいと思っています。

―お二人は、いまは別々のクラスで教えていらっしゃいますが、どのような生徒を歓迎されますか?また、今後の目標は、やはり合同のライブや発表会ということですね。

古谷 私は、生徒さんがあくまでもソロで踊ることができるように指導しています。そして、先ほどお話したようにフラメンコを心から楽しむことができるようになってほしい。だから、フラメンコが好きな人であれば大歓迎ですよ。いまクラスは経験者が多いですが、もちろん初心者の方でも大丈夫です。

そして、少しでも多くギターや歌、カホンの人たちといっしょに練習する機会を持ちたいんです。そして、早くクアドロを形成して、みんなで楽しめるようになりたいです。

ホセ クラスに関して言うと、アマチュアの人たちでクアドロを作って活動するというのは、日本でも珍しいケースだと思うんです。もちろん、希望する方は、とうことですが、そういう経験をしたい方は、ぜひ声を掛けてほしいですね。そして、踊りのクラスとの合流によるクアドロ・フラメンコも、早い時期に実現したいです。


(ホセ)
好きなヌメロ:うーん、すべてに持ち味があるので、すべて好きです。
(古谷)
好きなヌメロ:多すぎて挙げられません。強いて言えばアレグリアス、ソレア、タンゴ、ブレリア


取材・文 藤戸良彦