自身が感銘を受けた泉鏡花の傑作「高野聖」をテーマに、舞踊団を率いて初の創作フラメンコの舞台に挑むナオミ・ピアッツァさん。ギターのない、カンテ(唄)と踊りによる構成。モダンバレエとのコラボレーション。見どころの多い公演となりそうだ。

ナオミ・ピアッツァ主演
泉鏡花原作「高野聖・考」は
8月9日(土)18時30分から
尼崎市・ピッコロシアターで
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泉鏡花文学にフラメンコで挑む

 今回、泉鏡花の作品をテーマにしたのは、私が高校時代にレッスンを受けていたモダンバレエの先生、上甲裕久さんの長年の構想と企画を実現するものなんです。バレエではなく、どうしてもフラメンコのエッセンスを取り入れたものにしたいと。それで私も「高野聖」を読んだのですが、もう、その幻想的な世界と、山女の人間ではない妖艶な魅力に、すっかり虜になりました。

 「高野聖」は、泉鏡花文学の中でも傑作と評され、神秘、幻想、艶美、脱俗、非合理という独特の境地が描かれています。特に山女のエネルギーには強く惹かれるものがあり、いまの私の踊りにかける情熱でどこまで表現できるか、そういうことを考えて、この作品の舞台化に取り組む決意をしました。
 
 テーマが日本文学ですから、できるだけ和の色彩の濃いステージにしたいと思い、あえてギターは入らず、カンテと踊り主体による構成となります。前半は水の音や、東南アジアのケチャで人のざわめきを表現したりするんですよ。楽器としては、後半にフルートが入ります。踊りは私とモダンバレエの方が二人。あとは、スタジオの舞踊団員を含むフラメンコダンサーが出演します。新しい試みではあるけれど、基本はやっぱりフラメンコ。フラメンコで表現する泉鏡花文学なんです。私自身、とても興味を持って取り組んできました。


タブラオLA FOGATA
 創作フラメンコは以前に東仲一矩先生とやらせていただいたことはあるのですが、自分自身で取り組むのは初めて。いいステージにして、今後も機会があれば挑戦していきたいと思っています。

昨年12月、スタジオがタブラオとしてオープン

 私は子どものころクラシックバレエを習っていたのですが、15歳のときに初めてスペイン人のフラメンコのステージを見てすごく感動し、すぐに習いだしました。18歳のとき1年間スペインに留学し、ミラグロス・メンヒバルやアンヘル・トーレスといった人たちに指導を受けました。

 ここ神戸の三宮にスタジオを持ったのは、99年の11月。もちろん、私自身も勉強を重ねて、新しいことにも取り組んでいきたいのですが、レッスンにおいては、生徒が基礎力をつけながら着実にレベルを上げていけるような指導を心掛けています。私としては、特に上体の使い方、ブラソの動かし方に留意して指導しています。

 いま生徒は17歳から70歳までの方がいます。フラメンコが大好きで真面目に取り組みたい方は大歓迎です。私もまだ若いですし、いっしょに勉強して、神戸でのフラメンコを盛り上げていきたい。そして、いい公演ができるように頑張っていきたいです。

セビージャのスペイン広場にて
好きなアーティストはジェルバブエナ。常に踊りが変化し続けているところがすごい。フラメンコに対して真っすぐでひたむき。私の憧れの人です。

 実は去年の12月に、スタジオ内に舞台を設けてタブラオとしてライブを開いているんですよ。名前は「LA FOGATA(ラ・フォガタ)」といいます。私としても、どこか定期的に踊れる場所がほしかったのですが、いま1ヵ月に1回、基本的に第4土曜日をタブラオとして使っており、一般の方にも見に来ていただいています。

 最初、お客様はクラスの子のお友だちとかが多かったんですけど、いまは一般の方もずいぶん増えました。毎回来てくださる方も多いので、踊る曲は毎回替えるようにしています。50人くらいが入れる大きさなのですが、お客様と出演者が空間を共有するにはちょうどいい大きさで、タブラオとしてとてもいい雰囲気が作れていると思います。


好きなヌメロはアレグリアス。自分を素直に表現できて、いちばん自分に合っているような気がします。あとはソレア。まだ納得できるところまでいっていないのですが、それを追求するところにやりがいと楽しさを感じます。
 将来はここにスペイン人アーティストを呼べたらいいなぁ、なんて思っています。あと、クルシージョでも。フラメンコは私も大好きで、いまはもう生きる糧といっても過言ではありませんから。とにかく自分の踊りを磨くことと教室での指導、そしてタブラオ。とても忙しい日々ですが、好きな道なのだから、頑張っていきたいと思っています。

 そしていまは、「高野聖」のリハーサルに全力を注いでいます。来年の6月に5回目の発表会を予定しており、その後、来年末か再来年はじめに私のソロリサイタルをと考えています。


取材・文 藤戸良彦