今回は東京多摩地区の日野市、八王子市を地盤にフラメンコ活動を続けるお二人にインタビュー。ヒターナのアイレを漂わせる踊りで知られる相田繭佳(まゆか)さんと、卓越したギターテクニックと独自の音楽理論を持つ細川晶生さん。50人以上の生徒が出演し、ほぼ全員がソロを踊るという「タブラオ・コンサート」が、間近に迫っている。

相田・細川フラメンコ教室の
タブラオ・コンサートは
7月26日(土)、南大沢文化会館2F交流ホールで
第一部16:15、第二部19:15から
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――タブラオ・コンサートとは、どのようなものですか?

相田 教室の大きな発表会としては4回目なのですが、毎回、一つのテーマを決めて、そのときにできることを課題として取り組んでいます。今回は「個人のレベルを高めよう」「一人ひとりのフラメンコをつきつめよう」がテーマです。その結果がタブラオ・コンサートということで、出演する約50人のほぼ全員がソロを披露するんですよ。

細川 衣装は手作り、コンパネも自分たちでセットするし、音響は私がやります。プロの人にお願いするのは照明くらいですかね。できるだけ出費を抑えて、そのかわりチケットは2000円で、ドリンク・軽食付きです。少しでも多くの人に楽しんでほしいんです。 

――これまでは、どのような発表会を行ってこられたのですか?

相田 たとえば去年は「春・夏・秋・冬」と題して、私が振付・構成・演出を担当して、いろいろな試みを行ったんですよ。夏の場面で、御輿のイメージをソロ・デ・ピエ(足音を生かした踊り)で表現したり、楽器にピアノやドラム、ベースを使ったり、ナレーションが入ったりと、フラメンコの型にとらわれないステージに挑戦しました。


02年の発表会でのフィナーレ
細川 その前は「生から死、そして再生」、「細川と仲間たち」というのもありました。とにかく、いっしょにフラメンコをやっている信頼しあった仲間たちとの輪を大切にしていきたいですね。発表会は、一つのその表現の場というわけです。

――ふだんはどのような指導を心掛けていらっしゃいますか?

相田 私が踊りを教えるだけではなく、常に細川がいてギターを弾くところが、他の教室とはちょっと違った点でしょうね。カンテ(唄)の方にもよく来ていただいています。しかも彼のギターテクニックときたらハンパじゃない。フラメンコは踊り以前に、リズムがとても大切ですけど、彼のギターをバックに踊っていると、イヤでもリズム感が身につきますよ。

細川 フラメンコの場合、もともと楽譜があるわけではなく、絶対的なメロディーが存在するわけではないですが、特に私の場合は、レッスンのその場で曲を作ってしまうことが多いですからね。踊りの生徒としては、常にギターについていかなければならず、いろんなバリエーションへの対応ができるようになる、というわけです。

相田 美しく踊るためのレッスンだけではなく、フラメンコに必要なリズム中心のレッスンも行いますから。リズムといっても、メトロノームが刻む機械的なものではなく、あくまでもギターが刻む、人間がつくりだすリズム、生きたリズムです。このことが最大の特徴かな?あとは料金が安いこと(笑)。

02年、クラスでスペインツアーを行ったときの、ヘレスのタブラオでのスナップ

――細川さんは、プーロフラメンコを志向しているわけでもないのですね?

細川 私の場合、フォーク、ロック、ジャズ、クラシック、フュージョンなどいろいろなジャンルを経て、辿り着いたのがフラメンコだったんです。もう一つはジプシーロック。皆さんよくご存じのジプシーキングスのコピーバンド、ジプシーグルーヴというバンドでリードギターもやっています。

――相田さんはどういう経歴ですか?

相田 私は、もともと女優を志していたんです。それで、たまたまフラメンコと出会って習いだしたのが16歳のとき。日本では鈴木眞澄先生、加藤美香先生に師事し、スペインでは数多くのクルシージョに参加し、フラメンコのリズムを教わりました。教室は96年から。日常にない刺激を求めること、日常を超えた何かがあるという点で、お芝居もフラメンコも合い通じるものがあると思います。

――最後に、これからフラメンコを習う人に向けて、またご自分たちのフラメンコへの思いを聞かせてください。

相田 フラメンコって、自己表現の手段の一つだと思うんです。だから、自分自身で何かを創り上げていくことに興味がある人は、フラメンコに向いていると思います。実は私、いま出産を控えていて今度の発表会では踊れないんですけど、将来は子どもといっしょに踊りたいですね。主人がスペイン人カンタオールなので、親子3人でフラメンコをやりたい。あと、舞踊団を結成して振付はもちろん、舞台の演出も手掛けたいと思っています。

細川 フラメンコの踊りというのは、メンタル的にも自分が開放されて健康にとてもいいと思います。中高年の方にもいいですよ。私は実はカイロプラクティックも行うのですが、レッスンにも取り入れているんです。相田がストレッチの指導をし、私がカイロプラクティック療法を施す。うちの教室は、ケアの面でも万全でしょ(笑)。

とにかく、フラメンコは最終的には習うものではなく、感じて、自分で表現するもの。一度うちの教室のレッスンを見れば、そのことがわかっていただけると思います。

好きなアーティスト:相田「メルセデス・ルイス。技術がとてもしっかりしており、女性らしい雰囲気が好き」。細川「マニタス・デ・プラタ。ジプシーキングスの家系にあたる南フランスの伝説的ギタリスト」
好きなヌメロ:相田「アレグリアス。楽しいから」。細川「アレグリアス。起承転結がはっきりとあって、最終的に明るいところが好きです」



取材・文 藤戸良彦