来日17年。母国は南米グァテマラだが、今ではすっかり日本に溶け込み、フラメンコギターの指導に情熱を燃やすダビ・ラインフィエスタさん。子どものころから親しんだクラシック音楽からフラメンコに転身したそうだが、フラメンコの何がそんなに魅力だったのだろう。3月15日に行われる合同発表会のこと、パコ・デ・ルシアモデルのギターの輸入販売のことなどを合わせて訊いた。

スタジオ・エルカミーノ
合同発表会は
3月15日(土)18時から
新橋・ヤクルトホールで
詳細・お問い合わせはこちら


昨年12月のリサイタルでペドロ・シエラと


 

楽譜を使わない指導
生徒の個性を重んじる

 エル・カミーノとしての発表会は、今回で8回目。私のギター教室と、妻(舞踊家・滝沢恵さん)の踊りの教室の合同発表会です。これまで、ほぼ1年3ヵ月ごとに行ってきました。私のギター教室からは生徒2人が出演し、一人はすでにプロ活動をしています。

 私のギターレッスンの特徴は、楽譜を一切使わず、生徒一人ひとりに対して指導法を変えていることです。生徒にもそれぞれ個性があり、画一的な教え方ではいけないと考えているのです。

 最も注意しているのはコンパス感。フラメンコギターは、音を間違えないことより正しいコンパスを刻むことの方が大切なんです。これさえ身に付けば、バイレやカンテへの対応なども自由にできますからね。

 あとは、指の使い方、テクニックをしっかり教えます。生徒の手の特徴によって各自異なる指導を心掛けているんです。指導者によっては、パコ(パコ・デ・ルシア)ならパコだけを教える人もいるようですが、私はいろんな人のスタイルを少しずつ教えるんです。その中から、生徒の個性にあった音楽センスを磨いていけるように。ファルセータを固定しないことで、実践の舞台にも強い人を育てたい。フラメンコはあくまでも"自由"なもの。そのことを大切にしていきたいんです。

 いまフラメンコギターの第一人者であるパコ・デ・ルシアやビセンテ・アミーゴらも、もとは踊りの伴奏から始めました。エル・カミーノでは踊りのレッスンもあるから、その伴奏を務めることにより、より実践に強くなる。ギタリストはただギターを弾くだけではなく、踊りも唄も勉強しなければダメなんです。

クラシックからフラメンコギターに転身
日本では新宿ギターラ専属として活動

 私はすでに42年間、ギターを弾き続けています。出身地の南米グァテマラで、当時随一のギタリスト、パコ・ガリアーノにフラメンコのギターを教わりました。私の家は音楽一家で、父も母も国立オーケストラの奏者だったんです。私自身も子どものころからクラシックピアノを何年も習っていました。

 ところが、初めて耳にしたフラメンコギターが、それはもう強烈な印象で。それでパコ・ガリアーノに師事し、6ヵ月後には彼といっしょにプロ活動を始めたんです。

 日本に来たのは86年。最初のころは、今はありませんが新宿のギターラというタブラオにずっと出演していました。妻(滝沢恵さん)とも、そこで出会ったわけです。

 日本ではいま踊りを習う人が多いですよね。ギタリストの立場から少しアドバイスをするとすれば、フラメンコはあくまでも踊りとギター、唄が三位一体となって成り立つものだから、踊り手はギターや唄をよく聞いて、その音楽の中で自分の動きを出してほしいということ。このことを大切にしてほしいですね。

パコ・デ・ルシア銘柄のフラメンコギターの
輸入販売にも取り組む

 実は今回、縁があってギターの直輸入販売を始めることになったんですよ。パコ・デ・ルシアがディレクターとしてラベルにサインし、ギターケースにも彼のサインが刻まれたギターです。

 これには「ネグラ」と「ブランカ」の2種類があるのですが、今は「ネグラ」が2台あります。2002年製作のFlamenca Estudio Indiaです。表板(Tapa)はPino Abeto Alemán、裏板(Aros y Fondo)はPalo Santo de Indiaからなり、弦長は650ミリです。

 これはソリスト用のもので、音がとても鮮明で、しかも深いんです。次回は「ブランカ」も入荷します。どちらも硬くも柔らかくもなく、とても弾きやすいギターですよ。興味のある方は、ぜひお問い合わせください。


パコ・デ・ルシア銘柄のフラメンコギター

 ただ、私自身の"本業"は、あくまでもギタリスト。今後も演奏と指導に力を入れていきたいですね。自分が40年以上かかって得た技術を、今後も多くの人たちに伝えていきたいと思っています。


 

取材・文 藤戸良彦