名古屋を基盤に、フラメンコの指導を行って約18年の松下幸恵さん。豊富なフラメンコ歴と指導経験で内外の評価も高い松下さんに、3月7日の発表会のこと、日ごろの指導ぶりなどを訊いた。

松下幸恵フラメンコスタジオ
エル・カポーテ発表会は
3月7日(金)19時から
愛知厚生年金会館で
詳細・お問い合わせはこちら


 

 発表会は年に1度、毎年3月に行っています。今回で14回目になりますが、10代から60代まで、140人の生徒が出演するんですよ。学生からOL、主婦の方まで、それぞれの生徒たちの1年間の積み重ねの成果を、ぜひ見ていただきたいですね。

 カンテ、ギターは東京からベテランの方に出演をお願いしました。生徒にとってもすごくやりがいがありますし、"本物の唄とギター"にふれる貴重な機会でもあると思うんです。その意味でも、たいへん見ごたえのあるステージにしたいと思っています。

 レベルの違いはありますが、私は平素から、ただ身体を動かすだけではなく、フラメンコの特徴に気づいてもらえるような指導を心掛けています。私自身、渡西歴が長く、スペイン人アーティストとの共演も数多く経験しているので、その経験に基づいて、フラメンコというものを私なりの解釈で教えているつもりです。

 フラメンコはスペインの文化。だけど私たちは日本人であり、スペイン人の踊りを見てただ外見だけを真似るのではなく、もっとフラメンコの根っこの部分、たとえばコンパスなどを知っていくことが大切と教えているんです。

 学生時代に出会ったスペインとフラメンコ

 私は学生時代にスペイン語を勉強していたのですが、たまたま夏休みに学生のためのスペインツアーがあって、2ヵ月間スペインに滞在したんです。マドリッドでフラメンコも見たのですけど、その時は特に何も感じませんでした。

 ところが、グラナダで見たピラール・エレディアという踊り手の踊りに感激して、それ以来アンダルシアとフラメンコのことが忘れられなくなって。それで、再びグラナダに行って、スペイン人について習ったんです。

 最初はグラナダのエンリケ・カルモナと言う人。全然有名ではないので知る人は少ないですが、実はジェルバ・ブエナもこの人のところで始めたそうです。本人から聞きました。その次に習ったのがアングスティージャという人なのですが、これも偶然、ジェルバブエナと同じコースだったんですよ。

 その後はマドリッドのアモール・デ・ディオスでいろいろなクラスを受け、"踊り"の勉強をしました。クラシコやバレエのレッスンも受けて踊るための体づくりにも、四苦八苦しながら取り組みました。

 当時はすごく練習したけれど、そのうち、フラメンコが何なのかわからなくなった時期があったんです。楽しくないし、感じないし、わからないことだらけ…というような。そんなとき、ヘレスのとあるペーニャでフラメンコを見たのですが、子どもたちがアイレとペジスコたっぷりに生き生きと踊る姿が、私の胸を強く揺さぶったんです。私はこれで生き返ったと、今でも思っているんですよ。

「フラメンコが好きになれる人」を歓迎

 今では、フラメンコは私にとって日常当たり前に接しているものと言えます。実際にはそばにはないのだけれど、意識してそばにあるようにしている、というのかな。そして時々、私に大きな感動を与えてくれるものです。


好きなアーティストはモライート・チコ、ビセンテ・アミーゴ、ディエゴ・カラスコ。踊りではジェルバブエナ、コンチャ・バルガス

 名古屋で教室を開いたのが8年前で、その前も10年ほど別の所で教えていましたから、そう考えると、たしかに指導歴は長いですね。大阪でも、もう長いこと教えています。私自身、時にはスペインに行ったり東京でクルシージョを受けたりしていますし、特に名古屋という土地柄は意識していないんですよ。生徒もまた、意欲的な人はそうしていると思いますし。

 これまでいろいろな生徒を指導してきましたが、ただ身体を動かして汗をかきたいというのではなく、フラメンコが好きになれる人、謙虚な姿勢で取り組んで行ける人の方が上達すると思います。そういう人を歓迎したいです。

 でも、やっぱり私はバイラオーラ!という気持ちも強いんですよ。現実としては指導者としての仕事が多いにせよ、この気持ちは持ち続けたいと思っています。

 

取材・文 藤戸良彦