一貫して創作フラメンコに取り組み続ける佐藤桂子さん。先ごろ紫綬褒章を受賞。12月4日の新作公演を控えさらに意欲を見せる佐藤さんに、フラメンコのこと、お弟子さん育成のことについて訊きました。

 

佐藤桂子・山崎泰スペイン舞踊団公演
「異端の旅人」は
12月4日(水)19時から
芝メルパルクホールで
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「フラメンコは私の生きるすべて」  

 
――フラメンコとの出会いは何がきっかけでしたか?

友人に誘われて19歳から始めました。3年間個人レッスンをし、21歳のときに『ソレアレス』でコンクール第2位に入賞しました。

――1日にフラメンコの練習にどのくらい費やしていたのですか?

若い頃はとにかく1日中、練習していました。最近は歳をとったので、2時間ぐらいの自習です。あとは、クラスの生徒たちに教えることを2時間ぐらいしますから1日でトータル4時間ぐらいですね。

――自身にとってフラメンコが一生のものになると感じたときはいつですか?

フラメンコを始めたときには一生のものになるとは思ってもいませんでした。友人に誘われ、そして私の母が好きだったので続けていましたが、コンクールに入賞してから少し変わりました。本格的に意識したのは26歳のときにスペイン留学してからですね。

――やめたいと思ったことは?

ないですね。フラメンコはなぜかやめられなくなる踊りなんです。踊れば踊るほど楽しくもなり、踊れば踊るほどもっと勉強したいと思う奥の深さがありますね。

――初めての大舞台はいつですか?

小さい頃から舞踊ではしょっちゅう舞台にたっていました。フラメンコでいうと、スペインから戻ってきた1964年の帰国リサイタルですね。プログラムは1部でバイレ エスパニョール、2部でフラメンコ でした。始めのころは3年おきぐらいにリサイタルをしていたんですが、現在では毎年、開催しています。

――スペイン留学中に学んだこととは?

1962年に留学して1年間、あちらで学んだわけですが、アントニオ・マリンやビクトリア・エウヘニア、パコ・フェルナンドに師事し、毎日、素晴らしいスターの踊りが見れたことがとても嬉しく、勉強になりました。辛いことはとくに覚えていませんが、とにかく見るもの聞くものなんでも嬉しかったです。

―― 佐藤桂子・山崎泰スペイン舞踊団を設立のきっかけは?

77年に設立したんですが、とにかく若手を育てることと作品を創ることに力を注ごうと考えたからです。

――自身で築き上げてきた創作フラメンコとは何ですか?

本来、フラメンコの踊りというのは喜怒哀楽を直接的に表現し、本能的に踊るのがその形式ですよね。しかし、創作フラメンコというものは、その基本のフラメンコの技法を使いながらもさらにドラマ性のあるものを多様に、そして幅広くアイデアを盛り込んでいく踊りなんです。

――創作フラメンコを続けている理由は?

創作フラメンコはダイナミックかつ芸術性の高い作品です。苦労はありますが、とてもやりがいがあり、一つを終えると次の機会にまた、また一つを終えるとまた、と毎年、続けてきているんですね。それほどの魅力があるものなんです。

――多くの若手や中堅の舞踊家を育てる指導者という立場で難しいこと、楽しいことは?

フラメンコは踊れば踊るほど奥が深いものですから、粘り強く勉強

佐藤桂子さんプロフィール
7歳より児童舞踊を学ぶ。15歳よりバレエを宮木登美氏に師事。18歳よりモダンダンスを伊藤道郎氏に師事。19歳よりフラメンコを香取希代子氏に師事。22歳よりフラメンコを河上鈴子氏に師事。1949・57年、全国舞踊コンクールに出場・入賞。59年、オーストリア・ウィーンに於ける国際芸術コンクールに出場・入賞。62年スペイン留学。数回にわたり渡西。また、佐藤桂子舞踊研究所を主宰。77年、佐藤桂子・山崎泰スペイン舞踊団を設立。数々の創作フラメンコ作品を発表する中、(社)現代舞踊協会評議委員、日本女子体育大学スペイン舞踊講師を務める。現在、作品を発表する中、文化庁移動芸術祭等、数々の公演に参加。また舞踊指導活動を行う。2002年、紫綬褒賞受賞。

させることを引っ張っていくのが難しいですね。楽しみは生徒の皆が一生懸命稽古に励み、明るく、本当に楽しそうに稽古を続ける姿を見ていることですね。毎回毎回、稽古が楽しくてしかたがないと言いながら稽古をする生徒が、日ごとに上達していく姿を見ていることなんです。

――指導方針は何ですか?

辛いというよりも、稽古を楽しくかつ厳しくしながら、いかに退屈しないようスピード感のある踊りを指導していくかということですね。

――現在までに多くの生徒が巣立っているのですか?

誰が、とは言えないほど多くの生徒がフラメンコ界の第一線で活躍しています。日本女子体育短期大学で、フラメンコの講師を23年間務めてきたんですが、その教え子も数え切れぬほど第一線で活躍しています。そういう成長が嬉しいですね。

――指導者として、全国のフラメンコを習っている生徒に言いたいことは?

踊りは、素直に人の注意をよく聞くことが大事です。礼儀正しく、様々なものを見て聞いて自分の感性をより豊かにすることが大切です。それを心して頑張ってください。

――12月4日公演の『異端の旅人』の見どころを聞かせてください。

フラメンコもあり、モダンダンスもある、とにかく色々な要素を盛りだくさんに取り入れた創作フラメンコの集大成とも言える、とてもダイナミックな作品となっています。ご期待ください。

――佐藤さんにとってのフラメンコとは?

フラメンコは『私の生きるすべて』です。

 

入賞歴
1957年 東京新聞社主催全国舞踊コンクール第2位入賞「ソレアレス」、71年 芸術祭参加「丘と砂」演技に対して優秀賞受賞、79年 芸術祭参加「暗い鳩」演技に対して優秀賞受賞、83年 芸術祭参加「黒いエクウス」振り付けに対して優秀賞受賞、86年 芸術祭参加「エレクトラ」芸術祭賞及び江口隆哉賞受賞、92年 河上鈴子スペイン舞踊賞受賞「欲望という名の電車」、93年 邦人舞踊作品ベスト3受賞「欲望という名の電車」、ニムラ舞踊賞受賞



取材・文 徳永 貴子