舞踊生活20周年を迎える吉田睦子さん。6月12日には、自身に大きな影響を与えたバイラオーラ(女性舞踊家)、イサベル・ロペスをゲストに迎えて記念リサイタルを行います。
 子育てが終わってからフラメンコと出会った吉田さん。何度も壁にぶつかりながら、持ち前の明るさと面倒見のよさで、多くの人と出会い、そして自身を高めてきました。吉田さんにとってのフラメンコの魅力、そしてリサイタルへの意気込みを語っていただきました。
 
 もともとジャズと歌うことが好きで、ジャズボーカルをしたりしていたの。フラメンコを始めたのは、とにかく体を動かしたかったから。そう、子育てが終わって、あくまでも趣味として始めたんです。

 小松原庸子さんの「スペイン舞踊教室」を覗いたのがきっかけだったんだけど、それがフラメンコだとは入門するまで知らなかった。ただ、小松原さんがかっこよくて、それで始めたようなものですね(笑)

 踊りを人に教える立場になるとは、全然思ってもいなかったのですが、転機が訪れたのは10年目のころ。初めてフラメンコの勉強でスペインに行ったとき、セビージャのタブラオ「ロス・ガジョス」でイサベル・ロペスの踊りを見たんです。

 そこで踊るイサベルが、とても可愛くてきれいで…。そして、その踊りに感動したの。「ああ、これがフラメンコなんだ」って。その後、彼女が新宿の「エルフラメンコ」出演のために日本に来たとき、即、楽屋を訪ねたんです。で、「弟子にしてください」って頼んだの。

 彼女はびっくりしていたけど、その場でOKしてくれたわ。そう、イサベル・ロペスの日本人では初めての弟子は私なの(笑)

 彼女のおかげで、フラメンコのリズムを楽しめるようになった。今まであれほど苦労していたのにって、思うくらい。イサベルこそ、まさに私に最も大きな影響を与えてくれたアーティスト。その後の10年で私のフラメンコ環境が大きく変わったのも、彼女と出会ったからこそだと思います。

 今度のリサイタルでは、そのイサベルと、ご主人のギタリスト、エル・モリートがゲスト出演してくれるの。そして私は、彼女に最初に習った踊り、ソレア・ポル・ブレリアを、当時習った通り忠実に再現して踊るんですよ。しかも男装で。皆さん、楽しみにしていてくださいね。


 気がついたらフラメンコを始めて20年になるんだけど、もちろん、途中、迷った時期はあったわ。始めて5、6年目のころには、スペイン人の踊りを見るたびに「どうしてこんなに雰囲気が違うんだろう」って落ち込んでました。

 その後、いまのスタジオ・ヴィエントを始めたんだけど、当時は、私自身は人に教えるのではなくスタジオ経営だけでいいと思っていたの。それが、そのうち近所の奥さんたちの「スペインに行って踊りを楽しめるようになりたい」という声にこたえてセビジャーナスを教えだしたのがきっかけで、自分でも教室を持つようになったんです。

そして、気がついたら20年(笑)。今回のリサイタルは、その区切りでもあるんだけど、実はかねてから、フラメンコにジャズの要素を取り入れた試みも考えていたんです。

 もともとジャズが好きということもあるんだけど、以前に碇山奈奈さんのジャズフラメンカのステージを見て感動したのと、去年、ヘレスで見たホアキン・グリロのステージにとても感銘を受けたことが大きいです。

 ホアキンのステージは、テナーサックスを取り入れたジャズっぽいもので、とてもかっこよかったわ。で、そのころから、今回のステージの案をいろいろと考えてきたの。

 とにかく見ている人が退屈しないように、フラメンコを知らない人にも楽しんでいただけるように、変化に富んだステージを考えています。バタ・デ・コーラあり、男装あり、2部ではルンベーラにも挑戦するの。

 もちろん、イサベルとモリ−トとの共演も楽しみだわ。皆さん、ぜひ見にいらしてくださいね。