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2000年の第11回ビエナル・デ・アルテ・フラメンコで若者を対象としたコンクールがあった。バイレ部門で優勝したのはアンドレス・ペーニャ。そして、彼のバイレのために歌っていたカンタオールのうちの1人がアルカンヘルである。
その録音が後日CDで発売された。ギター、サパテアードそしてカンテが一体となった、まさに「フラメンコ」の醍醐味が感じられる録音。その中でも特筆すべきが、何度聴いても息をのむ緊張感、そして気持ちよい切り込みにスカッとする爽快感を与えてくれるのがアルカンヘルの歌声だ。
その後、ソロとして本格的に活動を始めたアルカンヘルのコンサートに幾度となく足を運んだ。そして、ライブでもその感覚を確かめ、さらにそれは私だけが感じることではないことに気づいた。老若男女入り交じる会場で、皆が同じタイミングでフッと揺れ、息をのむ瞬間を何度も目撃した。アルカンヘルのカンテに、人々が、そして会場の空気が揺れるのだ。そして最後にはコンサートの終わりを惜しむ人々の止まない拍手とスタンディングオベーション。
フラメンコのカンテは“難しい”とか“言葉が分からないから”と敬遠される事が多い。しかし、彼のカンテならきっと理屈抜きに感じてもらえるのではないかと思った。日本でカンテのコンサートをするなら、まずアルカンヘルに歌って欲しいという願いが生まれた。なかなかスペインに行く機会のない人、フラメンコのカンテを聴いた事のない人にとって、初めて出会うカンタオールにふさわしい歌手の一人だと確信した。
それともう1つ。アルカンヘルに旅をして欲しくなったのだ。
スペインではトップスターのアルカンヘル。ヨーロッパ・アメリカでのソロリサイタルの経験はあるが、アジアでは今回が初めてとなる。
この日本初ソロリサイタルでアルカンヘルは、新しいキャリアとカンタオールとしてのさらなる自信を手に入れるだろう。そしてそれは、私達に近い将来、さらに表情豊かになった彼のカンテを聴ける幸せをもたらしてくれるからだ。 |