私の通うフラメンコ舞踊のクラスのメンバーで、クリスマス会兼忘年会をやった。夜の10時にレストランに直接集合。私がその時間ぴったりに着くと、すでに5名ほど来ていた。     

 予約したテーブルに着く前に、カウンターでビールを立ち飲みしながら他の人が到着するのを待った。今夜は満席で、店内はたくさんの人で溢れていた。9人全員集合したのが、10時半過ぎ。コースの一皿目、そしてメインの二皿目の料理を各自が好きに選択し、食前酒で乾杯したときにはすでに11時をまわっていた。

 日本だったら、とっくにデザートも食べ終わり、そろそろ終電の心配をする時間だよね。スペインの夕食時間は遅い。ましてや週末は普段よりも更に遅くなりがちだ。お決まりの前菜、生ハムとチーズ、そして海老の塩茹でをつまみに、私は辛口のシェリー酒を2杯飲んだ。

 初心者を対象にした踊りのクラスの仲間なので、生徒たちの年齢はまちまちだ。7歳くらいの子供から子育てを終えたという女性までいる。まあ、どちらかというとおばさんの方が多いかな。男性も2人ほど在籍しているけど、この忘年会は欠席だった。だから今夜のメンバーは、全員女性だった。となれば、会話の主テーマが旦那のこと、子供のこと、美容のことになったのは言うまでもない。

 ヘレスの女性は夜でもよく外出するが、通常は、夫婦、もしくはカップル、つまり男性同伴の上での夜遊びだ。でも最近は、女同士で、といった習慣も認識されてきている。私の隣に座った、このグループの最年長、52歳の奥さんは、今夜が初めての主人抜きの外出なのよ、と言っていた。

 たっぷりと時間をかけて食事とおしゃべりをした後、夜中の1時ごろにとりあえずおひらきになった。とはいえ、ここで帰ったのは1人だけ。その他の8人は、ヘレスで通称サンボンバと言われている、クリスマスソングをみんなで合唱して踊るパーティー、に出かけた。

 普段はディスコとして営業している店に行くと、タンバリンや太鼓を持ったコーラスグループが輪を作り歌っていた。そして、一般のお客さんが彼らを取り囲むので、更に大きな円になった。クリスマスの歌は、リズムが単純なのでわかりやすい。みんなで手拍子をうちながらの大合唱。そして、ほろ酔いの女性が輪の中央に出てきて踊り始めると、椅子に座っていた男性がすっと立ち上がり、そのお相手を務めて踊る。そして、彼女をエスコートしつつ退場すると、お客さんから「オレ!」のかけ声がかかる。

 私たちは、しばらく踊って楽しんだ後、普通のディスコへ移動することにした。ここで帰ったのは2人。13歳の女の子とそのお母さん。3時くらいだったかな。着いたディスコは、ミラーボールにサルサやルンバなどの音楽、そして10から20歳代のたくさんの男女。でも、おばさんたちは物怖じせずに、ずんずんと奥に進むと、ウイスキーのソーダ割りを注文した。そして、そのグラスを片手に踊り始める。途中、回し飲みしたりしながら。

 私が、疲れたからもう帰ろうかな、と思ったころ「さあ、もう1軒行こう!」と誰かが言った。車に乗せてきてもらって来たので、私は誘われるがままについて行くしかなかった。3軒目になったそこでは、トランスっていうんですか?、単純なのりがずーっと続く音楽、それがかかっていた。

 1人のおばさんが、「ここに私の娘がいるはずなんだけど、、、」「ああ、いたいた。やっほー、マリア!来たわよ!」と言って抱擁し、みんなに娘を紹介した。こういった光景は、日本の文化、習慣、道徳からはほどんどあり得ないよね。私も、疲れていたけど、ふんばって(?)踊った。でも、足が痛くなってきたので、最後は座ってみんなを眺めてた。ヘレスの人ってほんと、タフ。そしてお祭り大好き。遊びにどれだけの時間とお金をかけたかが、1つの人間的価値の基準にもなっている気がする。疲れが出てきて惰性的になっても帰らない。

 結局、朝の5時半、車で来た1人が、明日仕事だから帰るわ、というのに便乗して私は帰宅できた。ここで3名が脱落。しかし、居残り組も3名。恐るべしアンダルシアパワー。日本のセンティメンタルなクリスマスからはほど遠い、キリスト誕生を祝う大パーティーが、今あっちこっちで開催されている。

 

 今年はクリスマスを彼氏の家族と過ごすために、南フランスのマルセイユに向かう。約11時間かけてバルセロナに電車で行って、そこで1泊。そして、翌日朝早くモンペリエ行きに乗り、その後、またマルセイユ行きに乗り換える。長旅だなぁ。でも、前にマドリッドからマルセイユまでバス1本で行ったときよりは、楽だと思う。だってそれは、17時間もバスの中なんだもの。