パンプローナ    
牛と人とが一体となる祭典

 

 7月7日といえば日本では七夕祭りですが、スペインではなんといっても、あの有名なサンフェルミン祭の始まる日。「サンフェルミン」とは、祭りの開催されるスペイン北部の街パンプローナの守護神のことです。

 このお祭り、以前は小さな地方祭りだったのですが、ノーベル賞作家のヘミングウェイが愛したことで有名になり、いまではこれがなければ夏が始まらないと言われるほど。国内はもちろん、アメリカをはじめ世界中からも大勢の観光客が押し寄せてくる、スペイン最大の祭りの一つとなりました。

 祭りの見どころは、何と言っても街に放たれた牛たちを見物客が追いかけるエンシエロ(牛追い)です。その模様はTVでも放映されるのでサンフェルミンの期間中、スペイン国民の赤き血はエンシエロの光景を見ながら熱く燃え、「あ〜今年も夏がやって来た」と感慨にふけるのです。 

 7日から14日までの1週間、毎朝8時に数頭の牛が通りに放たれると同時に、モッソと呼ばれる走りと体力に自信のある見物客達も牛と一緒に走り出します。牛たちがゴールの闘牛場に入るまで、その間約5〜10分。中には滑って転倒したり、群れを離れて攻撃的になり、人間たちに向かってくる牛もあります。


 スペイン全土にこういった牛追い祭りはあるものの、1歳未満の子牛を使う場合がほとんどですが、パンプローナのそれはすべて500kg以上の闘牛用の牛なので、踏まれたり、角で刺されたりしてヘタをすると命にかかわります。闘牛士と闘うために教育された巨体が闘牛場まで全速力で人間と一緒に街を駈けるのですから、危険は当然、覚悟しなくてはいけません。さいわいなことに今年は死者は出ませんでしたが、重症者1人、軽症者は20人にのぼりました。

写真提供:パンプロ-ナ市役所

 祭りの期間、ホテル等の宿泊施設は何カ月も前からおさえていなければ取れないこともあって、朝早くから深夜遅くまで、まるまる1週間ほとんど家にも帰らず、夜通しお酒を飲みながら眠らずにお祭り騒ぎを続ける人も多いのが、この祭りのもう一つの顔。

 当然、酔っ払いたちのマナー違反の行為が絶えません。市役所発表によると、109人の急性アルコール中毒、239人の外傷、負傷患者があったとか。また、衛生面では市内31ヵ所に164個の簡易トイレを設置するとともに、期間中、消臭と殺菌サービスを実施。またパンプロ-ナ市役所の発表によると、2ヵ所の公衆シャワー施設には3000件の利用があったということです。

 

(報告:角田美恵子)

エンシエロ(牛追い)参加者の心得
 -抜粋-

一、
牛追いは観客ことに走者にとっては二度とない経験を味わえるが、身体的条件を備えることが必要。事前に危険を十分認識し、自分や周りの人への安全対策を熟知しておくこと。
二、
冷静さ、反射神経、優れた身体条件が揃っていなければ参加してはならない。
三、
18歳未満参加禁止。
四、
カメラやバッグなど手荷物を持っての参加は禁止。
五、
まっすぐ走る。他の走者の前で横切ったり立ち止まらない。
六、
間違っても牛を待ち伏せたり触ったりして挑発しない。
七、

走者は前もってコース中のどこへ逃げ込むか、退場の仕方を考えておくこと。急に立ち止まってまごまごすると牛追いの流れや他の走者に重大な迷惑となる。