スペインにたくさんあるものに、「銀行」と「薬局」、それに「バール」と呼ばれる喫茶店があります。
スペイン人はコーヒー好き。バールには一日中お客さんが入っています。ちなみに、「朝ご飯休憩」がある職場が多く、11時ごろに抜け出してコーヒーを一杯とクロワッサン、というのはよく見かける光景です。
さてさて。バールは個人経営の小さな店が多く、街中のいたるところにあります。そんなスペインでは絶対に「スターバックス」は流行らないと言われていましたが、現在私が知っているだけで、バルセロナに6軒営業しています。
私は以前NYに住んでいたので、「スターバックス」はしょっちゅう利用していました。他の店と比べて値段が2倍以上することから、利用客はまだまだ外国からの観光客が多いようです。また、戦略的に観光スポットを狙って出店している様子。ところが、私が知っている「スターバックス」のつもりでバルセロナの「スターバックス」を利用すると、いつもさんざんな目に遭ってしまいます。
まず、サービスが遅い。それにサービスが悪い。私はここのコーヒー豆が好きで、よく買うのですが、2袋買うとスタンプを押してもらえて(10個スタンプが貯まれば1袋サービス)、お好きなコーヒー・ドリンクがタダになるサービス券がもらえるのですが、ほとんどの従業員は知らないのです。こちらが教えても手続きが分からなくてまごついたり、食券をレジでどう処理するか知らなかったり・・・。利用しようとすると忍耐が要ります。
というのも、よくよく観察してみたのですが、従業員に熟練したひとが少ないようです。みんなすぐに辞めていくんでしょうか? 料金的には他のバールよりずっと高いのだから、人件費をケチらなければいいと思うのですが・・・。従業員だけの問題ではなく、よく見ていると、地元のお客さんは「フラプチーノ」を注文しておいて、「オレはホットが欲しいんだ」と文句を言ったりしていますので、システムが確立するまではまだまだタイヘンかも知れません。
あんまり待たされたり、あんまりワケの分からないことをされたりすると、癇癪を起こして「お願いだからこれで<スターバックス>を名乗らないよ!」と叫んでしまう修行の足らない私です。でも考えてみれば、NYのコーヒー・ショップの店員やウエイターさんたちは、最低でも高卒。大学生や大卒が働くアメリカのお店と比べる方が間違っているのかも知れません。それに比べて、スペインには高卒以上のウエイターさんというのはたぶん存在しないはず。実際、「スターバックス」で見かける店員さんは、外国のひとも多いし、平均年齢も低いです。
さて、きのうも癇癪を起こしました。豆を挽いてくれるというので15分以上待っていたのに、私の豆は放ったらかし。頼まれた方はすっかり忘れているのです。仕方がないから、「もう挽いてくれなくていいから、返して」と言っても、豆の存在自体忘れているので、きょとん。自分で作業場にズカズカ入って行って袋を取り返すと、さすがにマネジャーと思しき若い娘さんが出てきました。「どうしましたか?」 事情を説明して、「これ以上待てないので豆はいただいて帰ります」と言うと、「私がいま挽きます」。
エライなと思ったのは、真っ赤になって怒っている私に、別の娘さんの店員はずっと微笑みかけ続けていたこと。私が知っている限りではスペイン人だけにできる自然な笑顔で。私なら、自分たちに落ち度があると思ったら申し訳なくてぜったいに笑えないし、落ち度がないと思ったらますます笑えません。
コーヒーもフラプチーノも好きだけれど、頼むからもう少し社内教育を充実させてくださいと本社に頼みたい気持ちでいっぱいです。でも、教えようと思っても教えられない美徳もスペイン人にはたくさんあるから難しいところですね・・・。
文 藤原可奈子