男にしかできないフラメンコがある

第4回 フラメンコの「今」を生きるアーティスト ディエゴ・カラスコ

 

「マエストロ・デ・コンパス」。 誰もがそう呼ぶアーティストの名は、ディエゴ・カラスコ。
ギタリスト、歌手そして作曲家として、フラメンコファンだけでなく、アーティスト達からも愛され、尊敬されているアーティストである。

毎年9月に行なわれる地元へレス・デ・ラ・フロンテーラの秋を飾る行事の一つであるフィエスタ・デ・ブレリア。それに向けての作曲とアルバムのレコーディングで多忙を極める中、幸いにも話をする機会を得ることができた。

10/8 取材こぼれ話UP!

 

取材・文 坂倉まきこ
MAKIKO SAKAKURA


P1 ディエゴ・カラスコ

1954年、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ生まれ。アーティストを職業にすると自分自身で決めるよりも先に、彼の血にはフラメンコアーティストとして育つDNAがしっかりと刻まれていたようだ。「小さい頃からフラメンコのコンパス、リズム、フィエタの中にいたよ。ギターも大好きでね」
フラメンコのDNA(スペイン語ではADN)とは、ディエゴのアルバムのタイトルでもある。両親共にヒターノで、自ら「超フラメンコのDNAを持っている」と言うディエゴ。日本人にもフラメンコDNAを入っている可能性を問うと「もちろん、大丈夫。これは、ある意味、その人の個性・性質だから。繊細さ、物の価値を見極める目、そして感じる心を持っていること。そして何より音楽が大好きでフラメンコを愛していることが、フラメンコのDNAなんだ」

ティオ・ボリコやティア・アニカ・ラ・ピリニャカなど、ヘレスのカンテのルーツであるカンタオール達の伴奏を若くして務め、フラメンコの歴史の多くの舞台に居合わせて来た。プロとしての仕事を始めたのは、前回フラメンコマンに登場していただいたモライートと共にビセンテ・ソトに弾き始めた頃だと言う。
近年、巨匠達の相次ぐ訃報の中、フラメンコの一時代の終わりを嘆く声もあるが、それはディエゴをはじめ、今を生きるアーティスト達にとっては「終わり」などではない。「人生は続いている。先人達を失ったことは悲しいことだが、彼らはこの世を去る時にいつも何かしら大切なものを残してくれている。その中でも最も素晴らしいのは、彼らの魂、精神だ。それを僕らがこれからも学び続けていけるように」
自分が今どこにいるか、何をしているか、そしてこれからどこに向かっていくのか。それが分かっていれば、時代に取り残されることもないし、新しいものともうまくやっていけるのだ。自分の乗っている列車の手綱を握っているのは自分自身でこれからも走り続けていく。だから、移り変わる時代に取り残されることもなければ、過去ばかりを見て歩みを止めてしまうこともないのだ。

ディエゴ・カラスコが出演する石井智子フラメンコ公演『EL COMPAS』はこちら

 

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