現代音楽や他の舞踊の要素も取り入れられ、時代と共に多様化するフラメンコの世界。
その中で、フラメンコ本来のトラディショナルなスタイルとヒターノのファミリアとしての個性を守る“エル・ピパ”の公演に対する評価は、本場スペインでも高い。幅広い観客層が解釈に頭を悩ます事なく、自然体で楽しめる舞台。「1人でも多くの人に、まずはフラメンコを好きになってほしい」というアントニオの願いは伝わりつつある。昨年1月、マドリでの「DE TABLAO」公演の初日には、ピラール・ロペスや同じくエル・ピパのファンだという女優のマリア・エステベ(アントニオ・ガデスの娘さん)をはじめとする各界の著名人の姿も多く見られた。
古き良き時代のタブラオの一夜を描いた前作「DE TABLAO」。それに続く新作「PUERTAS ADENTRO」。今年のセビージャ、ヘレス公演共、公演日前にして入場券は完売となった。詩人ミゲル・エルナンデスの詠った三つの傷(生・死・愛)をモチーフに、数年前の相次ぐ両親の急死とそれと時を同じくしての息子の誕生という自らの経験を重ね合わせた作品。テーマもさることながら、老若男女入り混じった出演者のラインナップは、どの年代の観客にも親近感を与えたことだろう。
ヘレスという“フラメンコの地”の土地柄、ブレリアは彼らのお家芸だ。「ヘレスのブレリアは、石畳1枚の上からはみ出さないで踊るのが粋なんだよ」とよく口にする。
叔母フアナのカンテとの息もぴったり。二人の間にリハーサルは必要ない。
フラメンコの醍醐味、Improvisación(即興)の賜物だ。
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