考えてみると、わたしの周りには恋多き女だとか恋多き男が多いようです。
で、彼女、彼らのことを見ていて思うに、なんというかわたしにいわせれば、こと恋愛に関しては節操のかけらもない行動を取っている。
さて、わたしが考える「節操」とは、
1.基本的に人のモノに手を出さない。
2.身近な物件に手を出さない。
3.すぐにセックスしない。
だいたいこんなところです。
既婚者との恋愛はまた別ですが、ともかく、友だちの「恋人」に手を出すと人間関係がややこしくなりそうですし、女友だちの男友だちだとか、会社の同じ部署で働いている2、3人だとか、身近な物件に手を出すとすぐにウワサのタネになり、恥ずかしいものです。
好きでない人とセックスをすると、己は後悔することのほうが多いし、相手にはいい誤解や悪い誤解をあたえることになります。
ですから、わたしは若いころより「節操」を大切に恋愛をしてきたつもりです。
ところが、恋多き人々はわたしの考える「節操」というものをまったくムシしている……というか、節操などといおうものなら「フッ」と鼻で笑われちゃうのでした。
たとえば、前回も登場した友人Yなぞは、高校生のころ、クラスメイトのMくんと付き合っていたわけですが、なんとMくんの友人で自分の同級生でもある3人の男の子に手を出したという始末です。
大学生になり、Mくんと別れたのち、Yはその3人を引き連れて、わたしのアルバイト先に遊びにきました。バイトが終わって、Yと男の子3人とわたしとで飲みにいくことになりました。
Yはお酒を飲みながら、自分が手を出した3人の男の子を前にして、
「今付き合ってる彼って、横須賀基地で米兵に日本語を教えてる人なのねー」
とわたしにうれしそうにいいながら、その今の彼とのセックスの一部始終をペラペラと話すのです。
同席している3人はそろいもそろってYに「はじめて」を奪われた男の子だと聞いていたわたしは、恐る恐る3人の顔をチラチラとうかがってしまいました。
すると、さきほどまではわたしに、「彼氏いるの?」などといきがっていた3人が、今はなんともいえない悲しげな、雨の日に捨てられた子犬のような顔をしているのです。
いたたまれなくなったわたしは、なんとかYの腕を引っ張って店を出ました。
「ちょっとあまりにかわいそうじゃないの。なんであんなこというわけ?」
とうらめしい気持ちでYを責めると、
「なんで? 何を怒ってるの?」
と彼女はきょとんとしているのです。
「だって、あの3人ともセックスしたって、昔いってたじゃん。はじめての女にあんな話されたら夢がこわれるでしょーが」
というと、Yは眉間にシワを寄せて、それから急に大声で笑い出し、
「ああ、そうだ、そうだ。忘れてた」
とひとりで大爆笑したのでした。
また、知人の編集者O氏(34歳、独身)は、よく、
「今の彼女、かわいいんですよお」と鼻の下を伸ばしながら、それでも一応は彼女の名前や年齢など詳しいことはふせて、わたしにどこでどんなふうにあんなことやらこんなことをしたとノロけております。
ところが、その彼女である女の子はほとんどが同じ会社で働いている人であったり、わたしの仕事上の知り合いであったりするため、O氏の彼女は○○ちゃんである。ということが、だいたいわかってしまうのです。
イロイロと話を聞いていると、どうやら同時に二人や三人と付き合うのは当たり前のようですし、彼とわたしの共通の知人である人の妻と、さらにはその妻の友だちと付き合っている時期などもある。
あるとき、わたしが、
「なんか節操のないことしてそうだねえ」
というと、彼はすごくビックリした顔で、
「節操のことなんか考えてたら、誰とも付き合えなくなっちゃうよ」
といったものでした。そう言い切られてしまうと妙に説得力が……。
それ以来、わたしは節操を大切にしてきた自分が間違っていたのではないかと疑いつつあります。
節操のある行動を取ろう取ろうとしたあげく、楽しいチャンスを逃していたかもしれない……。
結婚もしたし、今さら節操を失いたくもないので、この上はおとなしく生きていく所存ですが、独身で節操を大切にしている人は、失敗のゆるされる身であるうちに、ただ恋愛だけにのめりこんじゃってほしいと思います。
世間体やら外聞やらを気にせず、ひたすらに自分のほしいものを求めれば、のちのちになって、
「あのとき、ああしていれば〜」
と後悔することもなくなるはずです(30代も半ばになると、後輩にこういうことをいう女性はとても多いのです)。
恋愛のチャンスがあまりないなあと感じている方は、今年はぜひとも少しだけでも節操のない女になってみることをおすすめいたします。

お正月が終わったら、いきなりインフルエンザにかかりました。インフルエンザは25歳の冬にかかったきりです。あのときは、妹とふたり暮らしをしていたのですが、その妹はすごい年上の彼氏と旅行をしていて、わたしは自分の彼氏と別れたばっかりで、だれも看病してくれる人がなく「死ぬかも」とつぶやきながら泣いてました。病気のときの記憶って強く残っているものねえ、とシミジミ思いました。みなさまも、風邪やインフルエンザには気をつけてくださいませ。では、また。
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