第2回 ラテンパパはモテモテ
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私の姪っ子の通う保育園にラテン(南米系)のパパがいます。ものすごい男前というわけではないけれど、もちろんいつもニコニコしていて、誰にでも気さくにアイサツのできる感じのいいパパです。
 
幼稚園や保育園など、子どもが主人公の場所にやってくる日本人のパパというのは、気取ってるというか、無愛想というか、妙に自意識過剰でロクにアイサツもできない人が多いものです。会社で出会う人とは、人間らしく会話をしているだろうに、保育園だって、れっきとした公の場なのに、いけすかないことこの上ないです。
 
と怒るのはこのくらいにして、そもそも日本のパパで保育園の送り迎えをしている人自体が少ないのだから、愛想のいいラテンパパはとっても目立ってしまいます。
 
ラテンパパの奥さんは、T大を出て、某銀行で働いており、仕事がハードらしく、あまり保育園に顔を出しません。彼は、奥さんの実家の仕事を手伝う自営業なので、時間の融通がきくらしく、娘の保育園の送り迎えはもっぱらパパのお仕事なのでした。
 
すると、それをいいことに、「英語を教えて」だとか(ブラジルの方だったら母国語はブラジル・ポルトガル語では……あっ、英語もできるのか)、「時間があったらお茶しない」などとお誘いをかけるママは後を絶たないのでした。
 
さて、困ったことに「自分はここでもモテるらしい」と気が付いてしまったラテンパパは、自分の気に入ったママにはみずからお誘いをかけるようになってしまいました。
 
たま〜に、姪っ子のお迎えで保育園に顔を出すわたしは、一度たりとも彼から誘われたことはないのですが(なぜ誘われないのか納得がいきません)、わが妹をふくめ、ほとんどのママたちが、
「お茶を飲みにいきましょう」
「今度、ランチを食べに行きませんか」
と声をかけられているらしい。
 
ところが、彼が声をかけた中に、キレイなだけでなく、とてつもなくマジメなママがいたからタイヘンです。
「あなたとてもキレイ。今度ボクとデートしましょう」
とラテンパパにいわれた彼女は、ビックリ仰天してしまったそうです。

(お互いに結婚しているのに……。いや、不潔よ。不潔だわー!)
2週間ほど悩みに悩んだ彼女は、わが妹に相談を持ちかけてきました。
「△△ちゃんのパパにデートしようっていわれちゃったの。怖いから、今は出勤時間をずらして彼と会わないようにしてるんだけど、どうしたらいいと思う?」
 
お気楽なわが妹が、
「あんまり気にしなくていいんじゃない。あたしなんか、この間『今日はボクのバースデイ。あなた、ボクにキッスのプレゼントね』とかいわれたよ」
と答えると、
「ええっ! それで、まさかキスしたの?」
と彼女は目をむきました。

「するわけないじゃん。冗談でしょ」

「信じられない。そんなことをいう父兄がいるなんて。断固、抗議しなくちゃ」

いったいだれに抗議するんだろうねえ、と姉妹でのほほんと話していたら、彼女は、
「ふまじめな父兄がいて困ります。あたしだけでなく□□さんや、○○さんも交際を求められたのです」
とかなんとか、保育園の園長先生に抗議をしにいったのでした。

園長先生は、
「次に同じようなことがあったら、あちらのご夫妻にお話しして、こういったことは一切やめてもらうようにお話しします」
といってその場をおさめたそうです。
 
妹とわたしは、
「子どもに何かあったならまだしも、親同士の話なのにねえ」

「親の色恋っちゅーか、父兄に誘われたとかいう話を持ち込まれて、園長先生も困っただろうねえ」

「いやだと思ったら、本人に直接『結婚してるあたしにそんなこといわないでよ』と怒っちゃえば、それですむ話じゃないのかねえ」

「でも、ハッキリ『ノー』といえない性格の人もいるから」
とボソボソいいあったのでした。ああ、やはり日本女性は誘われなれていないせいで、断り方も上手じゃないのかも。
 
その後、やっぱりラテンパパは素行の悪い男子学生のように保育園の園長室に呼び出され、園長先生から厳重注意を受けてしまい、ちょっと元気をなくしていました。
 
しばらくして、いつもの調子を取り戻した彼は、あいかわらず保育園から少し離れたカフェへ、数人の保育園ママとお茶を飲みにいったりしているもようです。彼もきっと、ノリがいい日本女性とそうでない日本女性の見分けがつくようになったのかもしれません。

彼とお友だちになったママたちはなんだか楽しそうで、わたしも、ラテン男性の友だちがほしくなっちゃいました。そうして、お互いに「いい女だ」「いい男ねえ」とホメあうの。でも、とりあえず、保育園だとか、プライベートからは遠く離れたところで友だちをつくりたい気持ちでいっぱいです。

そういえば、わたしにもEさんというラテンの知り合いがいました。彼はとってもキュートな男性で、若いころのモテモテ話はすごい内容でした。けれど、結婚してからは、一度も浮気をしたことがないとこっそり打ち明けてくれました。