現代スペイン・フラメンコ界を代表する舞踊家、アントニオ・ガデスが、7月20日に亡くなった。
振付家としても常に時代の先端を走り続けた彼への評価は、その範疇だけにはとどまらない。
各方面から、アントニオ・ガデスへのメッセージを寄せていただいた。
順次掲載していくとともに、伝説の「フラメンコ3部作」のDVD/ビデオもご紹介。
  メッセージをいただきました。<名前をクリックすると追悼文をご覧いただけます>

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スペイン留学中に、通っていたアモール・デ・ディオスで傍らを通り過ぎるアントニオ・ガデスを見た時のことを今でも覚えています。それほど背が高いという印象はありませんが、手足が長くて姿勢が良く、とにかく格好良かった。フラメンコに興味を持ってスペイン留学を果たした私ですが、ガデスを間近に見て、ますますフラメンコを好きになったことは間違いありません。

60年代から70年代にかけては、ガデスをはじめ、ラファエル・デ・コルドバ、マリオ・マジャら錚々たる男性舞踊手が舞踊団を結成して、世界で活躍していました。胸高のズボンを穿いた、格好いい男性の格好いい踊り。それは他ジャンルの踊りには見られない魅力に満ちており、私はこれらのトラディショナルな香りに満ちた男性アーティストに憧れてフラメンコを始めたといっても過言ではありません。多くの舞台や映画を観ましたが、特に印象に残っているのが、「バルセロナ物語」の中で、水の撒かれた道路でガデスが踊るシーン。素晴らしい男っぷりでした。

ガデスはヒターノではありませんが、若いころからフラメンコの修練を積み、それらをアートとして自らのものとしていった。やがて舞台芸術としてのフラメンコを世界的に広め、高めていった功績には絶大なものがあります。

「ガデスの舞台はフラメンコではない」という声もありましたが、彼がバレエ・ナショナルを率いた時、パコ・フェルナンデスはすでにガデスのフラメンコに対する厳しい姿勢と強い意志、そして真摯な気持ちを絶賛していました。ガデスが目指したものは、紛れもなくフラメンコとしての舞台。さまざまな規制を踏まえた上で、舞台芸術としてのフラメンコを成功に導いたのです。グラン・アントニオや、最近ではアイーダ・ゴメスといった優れた振付家たちがバレエ・ナショナルを指揮していますが、ガデスの時代はより強くフラメンコを志向していたのだと私は思います。

ガデスは自分の舞踊団に多くの優れた踊り手を連れてきて、私たちを楽しませてくれました。まだフラメンコを始めて間もない頃でしたが、太めの女性の素晴らしい踊りを見て感激しました。後で彼女こそ偉大な女性舞踊手、カルメン・モーラと知ってびっくり。フラメンコはいろいろな個性が生かせて素敵だなと、改めて感じました。

(フラメンコ舞踊家)

 

アントニオ・ガデスと、スペインを代表する映画監督、カルロス・サウラが作り上げた作品3本をご紹介。約20年前に作られたものだが、いずれも「フラメンコ3部作」として伝説化しつつあり。これらを超える作品はいまだ作られていないと言われる。

血の婚礼

1981年 スペイン 東北新社
1982年 ¥3,990(税込)
監督:カルロス・サウラ 
製作:エミリアーノ・ピエドラ 
原作:フェディリコ・ガルシア・ロルカ 
振付:アントニオ・ガデス 
撮影:テオ・エスカミーリャ 
音楽:エミリオ・デ・ディエゴ
出演:アントニオ・ガデス/クリスティーナ・オヨス/ファン・アントニオ・ヒメネス/ピラル・カルデナス

「フラメンコ3部作」の第1弾にあたる作品。20世紀スペインを代表する詩人、ロルカの戯曲を映画化したもので、ガデス率いる舞踊団のリハーサル風景としてドキュメンタリータッチで描かれている。


※現在、この商品は廃盤となっています。

カルメン

1983年 スペイン 東北新社
¥3,990(税込)
監督:カルロス・サウラ 
製作:エミリアーノ・ピエドラ
原作:メリメ「カルメン」、ビゼー オペラ「カルメン」より 
振付:アントニオ・ガデス 
撮影:テオ・エスカミーリャ 
音楽:パコ・デ・ルシア
出演:アントニオ・ガデス/ラウラ・デル・ソル/クリスティーナ・オヨス/パコ・デ・ルシア/ファン・アントニオ・ヒメネス

アントニオ・ガデス、カルロス・サウラのコンビに名ギタリスト、パコ・デ・ルシアが音楽・出演で加わった、不朽の名作「カルメン」をミュージカル仕立てにした作品。虚実交錯した斬新な構成が絶賛された。


※現在、この商品は廃盤となっています。

恋は魔術師

1984年 スペイン/フランス 東北新社
¥3,990(税込)
監督:カルロス・サウラ 
製作:エミリアーノ・ピエドラ 
振付:アントニオ・ガデス 
撮影:テオ・エスカミーリャ 
音楽:マヌエル・デ・ファリャ
出演:アントニオ・ガデス/クリスティーナ・オヨス/ラウラ・デル・ソル/ファン・アントニオ・ヒメネス/エンマ・ペネーリャ

「フラメンコ3部作」の最後を飾る作品。亡夫の霊に苦しむ女性カンデーラ(クリスティーナ・オヨス)に、幼い頃から思いを寄せていたカルメロ(アントニオ・ガデス)が愛と情熱を打ち明ける…。クライマックスの“火祭りの踊り”は圧巻。


※現在、この商品は廃盤となっています。